研究課題
最近接相互作用のみを持つ正方格子および三角格子スピンS=1/2反強磁性ハイゼンベルグ模型の励起ダイナミクス、特に低エネルギー励起ダイナミックスは、スピン波理論を基とするS=1マグノン励起で記述できると考えられている。本研究では、この根本的な物理的描像にチャレンジするために、昨年度から三角格子スピンS=1/2反強磁性ハイゼンベルグ模型の励起スペクトルを、我々が独自に開発した密度行列繰り込み群(DMRG)法や数値的厳密対角化法を用いて調べている。特に、三角格子スピンS=1/2反強磁性ハイゼンベルグ模型が良い模型と考えられている擬二次元物質Ba3CoSb2O9に対する中性子散乱実験で観測された励起スペクトルの起源の解明を目指している。そこでは、低エネルギー領域はコヒーレントなマグノン励起で理解できるが、高エネルギー領域におけるインコヒーレント励起の性質およびその起源が大きな問題となっている。この問題を解明するために、本年度は、SU(2)対称性が破れたXXZ模型に対する励起ダイナミックス(スピン励起スペクトルの縦成分と横成分)の解析を中心に行った。その結果、高エネルギー領域に現れるインコヒーレントな励起は、縦成分と横成分でそれほど違いが現れず模型のSU(2)対称性の破れに鈍感であることがわかった。この結果は、高エネルギー領域のインコヒーレントな励起がスピノン様であることを示唆している。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
Physical Review B
巻: 103 ページ: 035141
10.1103/PhysRevB.103.035141
Physical Review Research
巻: 3 ページ: 043013
10.1103/PhysRevResearch.3.043013
Communications Physics
巻: 4 ページ: 161
10.1038/s42005-021-00665-6
巻: 104 ページ: 224417
10.1103/PhysRevB.104.224417
Physical Review A
巻: 101 ページ: 052340
10.1103/PhysRevA.101.052340
巻: 101 ページ: 235115
10.1103/PhysRevB.101.235115
巻: 101 ページ: 144407
10.1103/PhysRevB.101.144407
Nature communications
巻: 11 ページ: 3429
10.1038/s41467-020-17235-z
巻: 102 ページ: 140402
10.1103/PhysRevB.102.140402
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 89 ページ: 124709
10.7566/JPSJ.89.124709