研究課題/領域番号 |
18H01186
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斉藤 圭亮 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20514516)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 水素結合 / ネットワーク / プロトン移動 / QM/MM法 / 分子動力学法 / 光合成 |
研究実績の概要 |
プロトン移動の実例を集めるため,植物や藻類の光合成において水を分解し酸素を発生する反応を触媒する蛋白質である光化学系IIに着目した.この蛋白質では,光誘起電子移動反応が起こり,それにより触媒部位が活性化される.その電子移動を仲介しているアミノ酸であるチロシンZ (TyrZ) の隣にはヒスチジン (His) とアスパラギン (Asp) が存在し,水素結合を形成しているが,その役割は不明であった.量子科学計算によってその役割を調べたところ,TyrZとHisの水素結合にあるプロトンの位置によってHisがラジカル化する可能性があること,またAspの側鎖の向きによってHisのプロトン化状態が変化し,Hisのラジカル化の可否を制御していることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は計算の立ち上げと計算機の導入に予想より時間がかかり,計画通り進められなかったため予算を翌年度へ繰り越しした.そのためやや遅れていると判断される.
|
今後の研究の推進方策 |
具体的な蛋白質におけるプロトン移動の実例を複数調べるとともに,プロトン移動可能な経路とプロトン移動不可能な経路の特徴を明らかにしていく.
|