研究課題/領域番号 |
18H01193
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
佐々木 徹 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90514018)
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研究分担者 |
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Warm Dense Matter / 熱伝導率 / 電気伝導率 / 状態方程式 / パルスパワー放電 |
研究実績の概要 |
金属(固体)の性質とプラズマの性質を併せ持った低温(0.1eV-10eV)・高密度プラズマ 0.001ρs-ρs:ρs は固体密度)である低温・高密度プラズマ(Warm Dense Matter)は,固体物性やプラズマ物性が共存する体系であるため,その理解を進めることで普遍的な物性論を構築できる可能性を秘めている. 本研究の目的は,申請者らが開発した定積加熱放電法と熱伝導率計測法を用いて,ローレンツ数,イオン-イオン結合定数,電子縮退度に対する輸送特性をモデル化し,固体-プラズマ境界領域である低温・高密度プラズマ領域の衝突・緩和時間モデルを構築することである. 本年度は,昨年度構築した熱伝導率計測法と電気伝導率の高精度化とともに物性情報の一つである圧力計測にも着手した.圧力計測手法は,これまでに構築した熱伝導率計測法と同様に,ルビー蛍光の波長シフトを観測することで行う.ルビー蛍光の波長シフトをストリークカメラと分光器を併用したカメラで撮影した結果,ルビーの波長シフトが観測された.これに対して軸対称を仮定した数値解析コードでルビー表面にかかる圧力を求めたところ,定性的には一致した.しかしながら,本手法をさらに改善するためにはより高い圧力を印加する必要があり,ルビーキャピラリーの体積等を検討する必要がある. 次に,熱伝導率計測法と電気伝導率の高精度化により,金に対する電気伝導率と熱伝導率を計測した結果,金のWarm Dense Matterの場合でも従来のタングステンのWarm Dense Matterと同様に従来モデルに比べて高い熱伝導率を示すことを明らかにした. さらに,本手法を混合金属へ適用するため新しい液体金属負荷を構築し,本手法と同程度の細線状の液体金属を供給できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所望の実験計測系を構築し,精度の高い電気伝導率計測系および熱伝導率の計測結果が得られたことから,ローレンツ数,イオン-イオン結合定数,電子縮退度に対する輸送特性をモデル化に向けてデータが集まりつつある.また,本手法を派生させてルビー蛍光を利用した高密度プラズマに対する圧力計測法の原理実証や新しい液体金属を用いた細線負荷の供給方法を確立したことから,様々な低温・高密度プラズマのサンプルの生成,計測手法の拡大ができたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
2年目に得られた知見を基に,熱伝導率,電気伝導率の同時計測を行いローレンツ数の直接測定,各種輸送特性の温度・密度依存性を評価し,その体系化を目指す.また,ルビー蛍光を利用した圧力計測方法などから,状態方程式などの関係を探ることや混合金属などに対する計測手法についても合わせて進める.
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