直流アーク放電で生成した水素プラズマを,金属メッシュ(分離グリッド)を介してタンデム接続させた装置を整備した.上流側のドライバープラズマ電位を正電位にすると,分離グリッド近傍のシースによって加速された正イオンが,下流側のターゲットプラズマへ入射されるが,プロトン比の変化はほとんど見られなかった.一方,ドライバープラズマ電位を負電位にすると,電子がターゲットプラズマへ入射されて,バルマー系列の発光強度は35%増加し,ターゲットプラズマ密度は10%増加した.入射電子量の増加に伴ってプロトン比は1%程度増加したが,不充分なので更に対策が必要である. 原子状水素正負イオンの回転対構造について,予想される結合エネルギー数eV程度の波長の光子を照射しても,明確な崩壊は確認されなかった.ここで,水素プラズマをアルミへ照射しても,その表面の仕事関数は4 eV程度とあまり変化しないことがin-situ分析で確認された.崩壊しやすいこともあり,負イオンが生成されているのではなく,アルミと水素の化合物が電場などの外部要因によって崩壊して,負イオンまたは電子が生成されると考えるに至った.このアイデアの実証は,今後の課題である. 高エネルギー正イオンを重畳することにより,水素イオン性プラズマが形成された.円環状電極によって静電波を励起して,励起電極近傍における10 kHz~1 MHzの分散関係が得られた.進行波,逆進行波(位相速度が負値),後進波(群速度が負値)のモードが存在する周波数帯や減衰率は,入射正イオンエネルギーに依存して変化することが明らかになった.また,波動励起電圧とプローブ正負電流との間には,周波数に依存して位相ずれが生じており,容量結合または誘導結合の励起特性があることも明らかになった.
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