核融合炉のためのトリチウム製造実証試験の検討とHTTR用リチウム装荷ロッドの設計

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H01200
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 松浦 秀明 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50238961)
• 研究分担者: 片山 一成 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90380708) ; 大塚 哲平 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80315118) ; 後藤 実 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 炉設計部, マネージャー (60414546) ; 濱本 真平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高温ガス炉研究開発センター, 研究副主幹 (90435610) ; 石塚 悦男 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高温ガス炉研究開発センター, 課長 (70355006) ; 飛田 健次 東北大学, 工学研究科, 教授 (50354569)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: トリチウム / 高温ガス炉 / 核融合原型炉 / リチウム装荷体 / ジルコニウム / ニッケル被覆 / ＨＴＴＲ / アルミナ

研究実績の概要

原型炉初期保有及び炉工学試験用Ｔ調達法として高温ガス炉を用いたＴ製造法を検討している．HTTRを用いたＴ製造実証試験に向け，試験体及び試験法を明確にすることを目的に(1)～(4)を実施した．全体を通して，当初の予定通り順調に研究を遂行することができた．
(1) 高温環境下でのＴ閉じ込め性能評価実験：Zr管-Zr管-Al2O3管からなるLiロッド模擬試験体を用いた700℃でのＴ閉じ込め実験を実施し，水蒸気状Ｔ(HTO)に比べて，水素状Ｔ(HT)は比較的速やかにZr管-Al2O3管を透過することを明らかにした．このことは，Ｔ化学形をHTOに変換することがＴ閉じ込めに有効であることを示す．尚，透過したＴは主にHTOとして観測された．
(2) 高温Zr層とLi酸化物層の共存性評価実験：LiAlO2酸化物共存下において水素同位体を吸収・捕集するためのNi被覆Zr粒子の開発を行った．Zrと同等の水素吸収能をもつ市販のチタン球形粒子(平均粒径40 μm)に，無電解メッキによって100 nm程度の Niを被覆することに成功した．
(3) HTTR装荷用Liロッドの設計及び実証試験法の検討：HTTRを用いたＴ製造実証試験用の試験体約10本の概要を提示した．炉心核計算及びＴ拡散計算を組み合わせることによるZrを含む体系でのＴ製造及び流出解析コードを開発し，各試験体におけるＴ製造及び流出量の推定解析を通して，有効な実証試験方法を具体的にした．
(4) HTTRにおける炉内Ｔ挙動把握試験：HTTRの1次冷却材Heに含まれるＴの化学形態は，約9割がHT，約1割がCH3Tであることがわかった．これにより従来は最も実効線量係数の大きいHTO状として取り扱うしかなかったところが，最適評価も行えるようになった．また，照射試験で生成するＴによる被ばく量を評価して，周辺公衆への影響は十分小さいことを明らかにした．

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] The T-containment properties of a Zr-containing Li rod in a high-temperature gas-cooled reactor as a T production device for fusion reactors (2021)
  • 著者名/発表者名: Matsuura Hideaki、Suganuma Takuro、Koga Yuki、Naoi Motomasa、Katayama Kazunari、Otsuka Teppei、Goto Minoru、Nakagawa Shigeaki、Hamamoto Shinpei、Ishitsuka Etsuo、Tobita Kenji、Konishi Satoshi、Hiwatari Ryoji、Someya Youji、Sakamoto Yoshiteru
  • 雑誌名: Fusion Engineering and Design 巻: 169 ページ: 112441～112441
  • DOI: 10.1016/j.fusengdes.2021.112441
  • 査読あり
• [雑誌論文] Evaluation of tritium confinement performance of the assembly composed of zirconium and alumina simulating lithium rod (2021)
  • 著者名/発表者名: Henzan Daisuke、Katayama Kazunari、Matsuura Hideaki
  • 雑誌名: Fusion Engineering and Design 巻: 168 ページ: 112372～112372
  • DOI: 10.1016/j.fusengdes.2021.112372
  • 査読あり
• [雑誌論文] Performance of a Gas-Cooled Reactor as a Tritium Production Device for Fusion Reactors (2020)
  • 著者名/発表者名: Hideaki MATSUURA
  • 雑誌名: JAEA Conf. 巻: 2020-001 ページ: 33～38
  • DOI: 10.11484/jaea-conf-2020-001
• [雑誌論文] The Influence of B and Li Burnable Poison on Effective Multiplication Factor in the HTGR (2020)
  • 著者名/発表者名: Yuki Koga, Hideaki MATSUURA
  • 雑誌名: JAEA Conf. 巻: 2020-001 ページ: 211～216
  • DOI: 10.11484/jaea-conf-2020-001
• [学会発表] 高温ガス炉におけるT製造用Liロッドの検討～炉心非均質性を考慮したLiロッド構造と装荷法～ (2021)
  • 著者名/発表者名: 古賀友稀、松浦秀明、片山一成、大塚哲平、後藤実、濱本真平、石塚悦男、中川繁昭、飛田健次、日渡良爾、坂本宜照、小西哲之、染谷洋二
  • 学会等名: 日本原子力学会「2021年春の年会」
• [学会発表] EVALUATION OF THE TRITIUM CONFINEMENT PERFORMANCE OF THE Li ROD COMPOSED OF ZIRCONIUM AND ALUMINA (2020)
  • 著者名/発表者名: Daisuke Henzen, Kazunari Katayama, Hideaki Matsuura
  • 学会等名: 22nd Cross Straits Symposium on Energy and Environmental Science and Technology (CSS-EEST)
  • 国際学会
• [学会発表] 核融合原型炉におけるトリチウム自己充足性の評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 吉村暢也，松浦秀明，浦川知己，日渡良爾，染谷洋二，坂本宜照，飛田健次
  • 学会等名: 日本原子力学会九州支部「第39回研究発表講演会」
• [学会発表] 高温ガス炉を用いた核融合原型炉用T製造～複数のLiロッド構造併用による性能向上の検討～ (2020)
  • 著者名/発表者名: 古賀友稀, 松浦秀明, 片山一成,大塚哲平, 後藤実, 濱本真平, 石塚悦男, 中川繁昭, 飛田健次
  • 学会等名: 日本原子力学会九州支部「第39回研究発表講演会」
• [学会発表] 高温ガス炉を用いた核融合原型炉用T製造～構造の異なるLiロッドの最適空間配置の検討～ (2020)
  • 著者名/発表者名: 古賀友稀, 松浦秀明, 片山一成, 大塚哲平, 後藤実, 濱本真平, 石塚悦男, 中川繁昭, 飛田健次
  • 学会等名: 第37回プラズマ・核融合学会
• [学会発表] 原型炉におけるトリチウムバランスの検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 吉村暢也、松浦秀明、浦川知己、日渡良爾、染谷洋二、坂本宜照
  • 学会等名: 第37回プラズマ・核融合学会
• [学会発表] Zr 及びAl 2 O 3 を用いた高温ガス炉装荷用模擬リチウムロッドのトリチウム閉じ込め性能の評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 平安山大介, 片山一成, 松浦秀明
  • 学会等名: 第37回プラズマ・核融合学会
• [学会発表] T containment property of Zr-included Li rod in high-temperature gas-cooled reactor as a T production device for fusion reactors (2020)
  • 著者名/発表者名: Hideaki Matsuura, TakuroSuganuma, Yuki Koga, Motomasa Naoi, Kazunari Katayama, Teppei Otsuka, Minoru Goto, Shigeaki Nakagawa, Shinpei Hamamoto, Etsuo Ishitsuka, Kenji Tobita, Satoshi Konishi, Ryoji Hiwatari, Youji Someya, and Yoshiteru Sakamoto
  • 学会等名: The 31th Simposium on Fusion Technology (SOFT2020)
  • 国際学会
• [学会発表] Evaluation of tritium confinement performance of the assembly composed of Zr and Al2O3 simulating Li rod (2020)
  • 著者名/発表者名: Daisuke Henzen, Kazunari Katayama, Hideaki Matsuura
  • 学会等名: The 31th Simposium on Fusion Technology (SOFT2020)
  • 国際学会
• [学会発表] 高温ガス炉におけるT製造用Liロッドの検討～Zr水素吸蔵速度の温度依存性～ (2020)
  • 著者名/発表者名: 中川恭一、松浦秀明、古賀友稀、片山一成、大塚哲平、後藤実、濱本真平、石塚悦男、中川繁昭、飛田健次、小西哲之、日渡良爾、坂本宜照
  • 学会等名: 日本原子力学会「2020年秋の大会」
• [学会発表] 原型炉へ向けたトリチウム調達法の検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 松浦秀明
  • 学会等名: 核融合科学研究所 トリチウム研究会2020