研究課題/領域番号 |
18H01209
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中務 孝 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (40333786)
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研究分担者 |
櫻井 鉄也 筑波大学, システム情報系, 教授 (60187086)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 密度汎関数理論 / 中性子星 / 原子核構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、原子核・中性子星を対象に、(時間依存)密度汎関数理論を用いて、ミクロとマクロな核子多体系の集団運動、非一様低密度核核物質の出現・性質を統一的に研究することを目標にしている。
計算手法・コード開発の点では、2018年度より開発を進めている、行列対角化を回避する新しい方法の高精度化・安定化に成果があった。有限温度に拡張された1体グリーン関数を複素エネルギー平面上で構成し、閉曲線上で積分する方法を用いているが、積分に必要な異なる複素エネルギー点に対する代数方程式の解が必要である。ここにシフト法を用いることで計算コストの大幅な縮小に成功していたが、代数方程式の反復解の収束性に問題が一部残っていた。そこでこの問題の解決に取り組み、その結果として、代数方程式をうまく変換することで、方程式が少し複雑になるものの、複素対称行列の問題に落とし込むことができることに気づいた。これにより、対称行列に対して安定的に動作する反復手法を採用することができ、収束性の問題が大きく改善させることができた。高い並列効率には一切影響を及ぼさないことも確認できた。
また、核子超流動を引き起こす原因である対相関に対して、核子がスピン0のペアを作るアイソベクトル型のものとスピン1nペアを作るアイソスカラー型を同時に考慮することで、新たに出現する現象のモデル解析を実行した。これにより、中性子星状態方程式においても重要な原子核の対称エネルギーへの対相関効果を見積もり、アイソベクトル型のpn対が重要な寄与を及ぼすことが分かった。また、宇宙元素合成過程で重要なベータ崩壊の性質に対しては、アイソスカラー型の対相関が大きな影響を及ぼすことを確認した。さらに、中性子星状態方程式における暗黒物質の効果について、フェルミ粒子のWIMPを仮定することで、状態方程式をソフト化する効果を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロダクトランを実施するためのフルバージョンのコード開発を実施することができ、開発はおおむね順調に進展している。コードの整備を実施するとともに、筑波大学計算科学研究センターが東大と共同で運用するOakforest-PACSにおいて、大規模並列計算に向けたチューニングも行い、プロダクトランも推進中である。また、着任に遅れがでたが、海外からポスドク研究員が着任し、それに伴う国際共同研究を実施することができ、中性子星に対する暗黒物質効果など、当初予定にはなかった成果もあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
複素行列の対称化によって大幅に向上した収束性を武器として、現在実施しているコード開発を完成させるとともに、有限温度の計算を可能にするバージョンに関しても同様の改良を実施する。また、中性子星インナークラストの構造・ダイナミクス解析に向けて、より大掛かりな計算の必要性もあるため、計算コストが粒子数に対して線形にしか依存しない、いわゆるオーダーN法の適用に関する検討を実施する。
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