研究課題/領域番号 |
18H01214
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 健太郎 京都大学, 理学研究科, 助教 (30544928)
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研究分担者 |
綿村 哲 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00201252)
村田 佳樹 日本大学, 文理学部, 准教授 (00707804)
大河内 豊 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40599990)
酒谷 雄峰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40636403)
橋本 幸士 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80345074)
吉岡 興一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80363323)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超弦理論 / 超重力理論 / 可積分性 / 一般化された超重力理論 / ヤン-バクスター変形 / TTbar変形 |
研究実績の概要 |
超弦理論における最重要研究課題の一つは、ゲージ理論と重力理論の双対性(等価性)である。これはゲージ/重力対応とも呼ばれ、ゲージ理論が共形場理論(Conformal Field Theory, CFT)である特殊な場合には、重力理論が反ドジッター(anti de Sitter, AdS)時空上で定義され、AdS/CFT対応と呼ばれる。このAdS/CFT対応の研究の一つの方向性は、「境界上に住む場の理論の情報から、どのようにバルクの重力理論の情報を再構築するか」を問うことである。これを「バルク再構築」と呼ばれ、いくつかのシナリオが提案されている。 本研究では、京都大学基礎物理学研究所の青木慎也と横山修一の両名によって提案されたバルク再構築の方法の拡張について議論した。彼らは、場の理論における厳密な2点関数の形さえ与えられれば、バルク時空の計量を導けるマスター公式を予想した。この公式の正当性は、共形場理論における2点関数の表式からAdS空間の計量を再導出できることから裏付けられていた。この青木と横山の先行研究に対して、「非相対論的な(共形)場の理論」の2点関数を用いて、シュレディンガー時空やリフシッツ時空などの計量を再導出できるように拡張した。更に、ハンガリーのJanos Balog氏を加えた共同研究によって、バルク時空の計量のみならず、バルクに住む可換なゲージ場を再構築する公式を発見できた。 また、別の方向性の研究として、Domenico Orlando、Susanne Reffert、関口雄太との共同研究において、二重時空を標的空間にもつ2次元非線形シグマ模型において、O(d,d)変換が可積分性を保存することを示した。このO(d,d)変換の中には、それまでに別の文脈で議論されていた可積分変形であるヤン・バクスター変形も含まれており、本研究課題の主要なテーマと密接に関連する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
基礎物理学研究所の青木慎也氏と横山修一氏との共同研究を開始し、ハンガリーのJanos Balog氏も含めた国際共同研究へと発展させることができた。年度の後半には、新型コロナウィルスの影響により、参加する予定だった研究会へ参加することができなくなり、予算を繰り越すことにもなった。しかし、その不測の事態にもかかわらず、研究計画が順調に進んだことは不幸中の幸いである。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの影響が次年度にはより大きくなり、研究活動に大きく支障が出ることが懸念される。オンラインでの共同研究の議論や研究会への参加というスタイルにはやく習熟するとともに、研究計画の進展に影響がでないように努力したい。
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