研究課題
摂動級数と非摂動効果とを関係づけるリサージェンス理論に基づき、量子非摂動現象の新たな解析法(拡張 型リサージェンス理論)を確立し、さらに様々な物理現象に適用して場の量子論の新たな非摂動的定式化を目指した。リサージェンス理論は、発散する摂動級数のボレル総和に現れる不定性に対する処方で、その経路積分による準古典的解釈には解決すべき問題が数多く残されている。リノーマロンの問題として、対応する非摂動効果が経路積分における鞍点の寄与として同定することができるかというものがあり、バイオン解がリノーマロンに対応する鞍点解の候補として提案されている。本研究では、ラージN非線形シグマ模型におけるリノーマロン不定性の構造を議論し、赤外発散の正則化スケールパラメータとリノーマロン不定性の関係について詳細に調べた。O(N)非線形シグマ模型において、ラージN極限における相関関数を厳密なトランス級数の形に書き下すことにより、不定性が含まれているセクターを検証し、赤外発散の正則化スケールパラメータが模型の強結合化スケールパラメータΛより大きい場合は不定性が現れないことを確認した。一方で正則化パラメータの方が小さい場合は、摂動級数のリノーマロン不定性は非摂動的寄与の不定性のみでは相殺されないということが判明した。更に高次の非摂動セクターの摂動級数に含まれるボレル不定性を考慮することによって、リノーマロン不定性が完全に相殺されることを発見した。その他は、渦を用いたブレーンワールドの構築、カイラル磁性体におけるドメイン壁とその格子構造とマグノン有効理論、有質量のアクシオン電磁気学において4群の構造、トポロジカル超伝導と超対称性、3P2超流動における渦、2ヒッグス模型における安定なZストリング、高密度QCDにおけるカイラル非アーベリアン渦、CPN模型における分数スキルミオンなどの研究を行った。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (23件) (うち国際共著 5件、 査読あり 23件、 オープンアクセス 16件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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