研究課題/領域番号 |
18H01223
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増渕 達也 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20512148)
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研究分担者 |
越智 敦彦 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40335419)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミューオン / ガス検出器 / MPGD / μ-RWELL |
研究実績の概要 |
2019年度後半から新型コロナウイルスの影響で検出器の開発・性能評価を実施していたスイス・欧州原子核研究機構への渡航に制限がかかったため、性能評価を行っていた実験施設から一時退避する必要があった。そのため、一時実機を用いた開発・性能評価試験からGarfield++などを用いた検出器シミュレーションでの性能評価フレームワークの構築を試みた。開発中であるμ-RWELL検出器のパラメータをシミュレーションを用いて評価を行っている。実績があるGEMやMicroMegas検出器の構造を元に、実際のμ-RWELL検出器の構造をシミュレーション上に構築し、ガス中でのドリフトや増幅機構などを評価し、実機での性能評価と比較することによって、系統的に検出器パラメータの理解を試みている。 また、2018年度に進めていたスパッタリングを用いたDiamond-Like-Carbon(DLC)高抵抗層の安定した製造技術の確立のために調査を進めた。 さらに、比較的安定した10^5-7Ω/sq)の抵抗値を持つDLC高抵抗層の電極を用いた10cm*10cmのμ-PICの開発と性能評価も進めており、10^4以上のガスゲインを得られ、高い検出効率で位置分解能が100um以下の性能を持つことを確認した。また、高速中性子を用いた照射試験も行い、安定動作することが確認できた。これらの結果は、様々な国際会議で発表し、論文としてNucil. Instr. Meth. に投稿し、出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度から新型コロナウイルスの影響で研究実施をしていた欧州原子核研究機構での活動制限・また海外への渡航制限がかかり、一度検出器の性能評価を取りやめ実験セットアップを引き上げる必要が出た。そのため、実機を用いた性能評価から検出器のシミュレーションを用いた性能評価を行っていた。高抵抗フォイルを用いたμ-PIC検出器の性能評価や高抵抗フォイルの性能を調査することはできたが、μ-RWELLの性能評価が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
検出器の性能評価を実施する研究機関があるスイスへの渡航制限、欧州原子核研究機構内の活動制限がなくなりつつあり、実験の再開が可能となった。今後は、2019年度に行っていたμ-RWELL検出器の性能評価をするために検出器のコンディショニングを再度行い、信号測定から性能評価に進む予定である。ゲイン測定などを印加電圧やガスの選択を変えて行い、系統的に調査していく。また、X線などの高レート環境での性能評価・ビームを用いた性能評価も行う予定である。 さらに、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の安定性向上のための研究も継続して行う予定であり、大型のカプトンを用いてスパッタリングを行い、抵抗値の場所一様性なども調査を行う。 また並行してシミュレーションなどを用いた検出器パラメータの比較なども行い観測データとシミュレーションを比較して今後の検出器の改良にフィードバックをかける予定である。
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