研究課題/領域番号 |
18H01225
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 俊博 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (50706877)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 宇宙線観測 |
研究実績の概要 |
次世代の極高エネルギー宇宙線観測実験を目指した開発研究として、直径1.6 mの複合鏡とその焦点面に4本の大口径光電子増倍管(直径20 cm)を設置した低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡による宇宙線観測を続けている。本研究では、現在稼働している極高エネルギー宇宙線観測実験であるテレスコープアレイ実験(米国ユタ州)とピエールオージェ観測所(アルゼンチンメンドーサ)に同一の新型大気蛍光望遠鏡を設置し、実験間の系統誤差を調べる研究計画となっている。 2020年度は、アメリカユタ州で宇宙線の定常観測を続けているテレスコープアレイ実験に設置した3基の新型大気蛍光望遠鏡を日本から遠隔運用し、月のない晴天夜にデータ収集を実施した。これまでに累計616時間の観測時間を達成したが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、現在は観測を休止している。また、2019年4月にアルゼンチンメンドーサにあるピエールオージェ観測所に設置した同型の望遠鏡の観測運用を続けており、現在まで累計1196時間の観測時間を達成した。こちらの望遠鏡は2020年7月以降、遠隔操作による観測を再開している。 望遠鏡の測定データを解析ソフトウェアの開発では機械学習を応用した解析ソフトウェアを新規開発し、望遠鏡アレイとしての性能を評価した。加えて、アルゼンチンへの2基目の新型大気蛍光望遠鏡の設置へ向けて、望遠鏡とカメラ製作を進めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため2021年度以降に延期となった。この期間を利用し、実験室内に望遠鏡のカメラの試験装置を新たに設置した。位置決定精度が0.2 mmを持つ汎用型ロボットアームを使い、暗室の中で光源をカメラ面上で動かすことにでカメラの統合試験を短時間で実施することが可能となった。現在は、今後の量産体制に備えて性能評価システムの全自動化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大のために、予定していたアルゼンチンへの2号基の設置は遅れてしまっているが、テレスコープアレイ実験での3基、およびピエールオージェ観測所に設置した1基の新型大気蛍光望遠鏡の宇宙線観測は遠隔操作にて継続している。また機械学習を使ったデータ解析手法も新たに開発し、光電子増倍管の性能評価の全自動化へ向けた準備も進みつつあるため、望遠鏡設置を除けば、おおむね順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況を確認しつつ、ピエールオージェ観測の2基目の望遠鏡の設置を進めていく。各月で開催している共同研究者とのオンライン会議を継続し、またアルゼンチン現地の人や共同研究者と密な連絡をとりつつ、設置へ向けた準備を進めていく予定である。
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