研究課題/領域番号 |
18H01227
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 好孝 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (50272521)
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研究分担者 |
後藤 雄二 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 先任研究員 (00360545)
毛受 弘彰 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (10447849)
さこ 隆志 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90324368)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宇宙線 / 素粒子実験 / 実験核物理 / 国際協力 / 加速器 |
研究実績の概要 |
2018年度は、取得済みのLHCf13TeV陽子陽子衝突データの解析を進め、超前方中性子エネルギースペクトルを導出し出版した。結果は、7TeV陽子陽子衝突で得られていたスペクトルと矛盾なく、超前方中性子についてもファイマンスケーリングは成り立っていると考えられる。 11月には、LHCf実験とRHICf実験の合同コラボレーションミーティングをフィレンチェ大で開催した。この会議において、2021年以降に想定されるLHC陽子-酸素衝突運転が2021年のLHC運転再開当初に実現する可能性がない、ということがわかり、2021年のLHCf実験の方針として、高統計14TeV陽子陽子衝突のデータ取得、特にATLAS実験との連動データ取得と中性K中間子の測定を計画することになった。ATLASとの連動データ取得については、Roman Pot検出器による散乱陽子運動量測定と組みあわせて、デルタ粒子中間状態を使った超高エネルギーでの陽子-パイ中間子結合定数測定の検討が行われた。 研究成果の発信と議論のために、2018年5月21-25日には、名古屋大学において20th International Symposium on Very High Energy Cosmic Ray Interaction(ISVHECRI2018)を開催し、17か国から122名の参加者(うち外国人73名、女性14名)を集め、65講演が行われた。この会議では、超高エネルギー宇宙線反応のニュートリノ物理への導入が特徴的であった。2019年3月には大気ニュートリノ 生成過程のフォーカスした国際研究会Workshop on Atmospheric Neturino Production (WANP2019)を名古屋大学で開催し、約30名の宇宙線反応研究者、空気シャワー研究者、ニュートリノ研究者が集まり、横断的な議論が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LHCf実験のデータ解析は順調に進んでおり、超前方中性子スペクトルの出版を行った他、前年度に取得したRHICf実験の初期データ解析を進め、超前方中性中間子生成の左右非対称性について予期せぬ大きな非対称度を発見した。また、研究成果の発信と議論のためにこの研究分野の最大の会議であるISVHECRI2018を開催した他、大気ニュートリノモデリングへの進展としてWANP2019を開催するなど、活発な展開を行うことができた。これらのことからおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
RHICf実験のデータ解析を進め、超前方中性中性子スペクトル、超前方ガンマ線スペクトルについては最終結果の確定を急ぐ。また、LHCf実験については、ATLAS連動解析の成果論文の出版を急ぐとともに、13TeV陽子陽子衝突での中性パイ中間子スペクトルの最終結果をまとめる。また、2021年の14TeV陽子陽子衝突での高統計データ取得に向けて、COVID19による遅れの状況を注視しながら進める。また成果の発信について、COVID19の影響により国際会議がキャンセルまたはオンライン化するなかで、オンライン研究会、セミナーの手段を使いながら、活性化に努めていく。 大気ニュートリノへの進展について、GeV領域で着手されているフラックスモデリング研究と連携しながら、超高エネルギーでのフラックスモデリングへと進展させる。
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