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2019 年度 実績報告書

カイラル分子におけるパリティ非保存観測に向けた極低温気相多原子分子生成技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18H01229
研究機関岡山大学

研究代表者

宮本 祐樹  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 研究准教授 (00559586)

研究分担者 久間 晋  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50600045)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード極低温分子 / パリティ対称性の破れ / カイラル分子
研究実績の概要

ヒッグス粒子の発見により標準模型が完成をみた一方で、物質優勢宇宙の起源など標準模型では説明できない事象があることも良く知られている。そのため「標準模型を超えた物理」の探索が今後の基礎物理における主要課題である。そこで我々が着目したのは、パリティ対称性の破れに由来するカイラル分子鏡像異性体間のエネルギー差である。このエネルギー差を測定することにより、低エネルギー領域における弱混合角を精密に決定することが最終目標である。しかし、この極小のエネルギー差を観測するためには、カイラリティを持つ多原子分子を孤立状態でミリケルビン以下まで冷却する必要があり、そのような技術は現在確立されていない。そこで本課題では、バッファーガス冷却とレーザー冷却により三原子分子をミリケルビン以下まで冷却することを目的としている。
昨年度までに真空系の立ち上げとレーザーアブレーションによる標的分子の生成に成功している。2019年度は、予定通り標的分子をバッファーガス冷却により4K程度まで予備冷却することを目標とした。バッファーガス冷却とは冷凍機により冷却された不活性ガス(本実験ではヘリウムガス)をセル中で標的分子に衝突させ冷却する手法である。具体的には、真空系にパルスチューブ冷凍機を組み込み、冷却ステージにバッファーガスセルを取り付けた。冷却試験や、室温でのアブレーションのテストを経たのち、4Kでの動作試験を行ったところ、問題なく下流に設置されている四重極型質量分析計で標的分子の信号が確認された。現状ではバッファーガスを流した状態ではセル温度が5K程度まで上がってしまうが、予備冷却としては問題ないと考えられる。さらに測定された信号によりバッファーガスの流量やアブレーション条件の最適化を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実施計画通り、標的分子の予備冷却に成功しており、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

2020年度は実施計画に従い、標的分子である一酸化カルシウム分子のレーザー冷却に向けた準備を進める。そのために、まず使用するレーザーの調整を行う。並行してバッファーガス冷却やアブレーションの最適化を進める。

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公開日: 2021-01-27  

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