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2019 年度 実績報告書

TES型マイクロカロリメータを用いた太陽アクシオン探査

研究課題

研究課題/領域番号 18H01244
研究機関国立天文台

研究代表者

満田 和久  国立天文台, 先端技術センター, 特任教授 (80183961)

研究分担者 山崎 典子  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20254146)
前畑 京介  九州大学, 工学研究院, 准教授 (30190317)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードアクシオン / 太陽アクシオン / マイクロカロリメータ / 超伝導転移端
研究実績の概要

本研究で目標とする検出実験を実現するためには,4つの主要課題が存在する。これまで,その解決をはかってきた。主要課題とは,(A) 鉄の磁性がTES(超伝導転移端センサー)の超伝導特性を阻害するので対策が必要,(B) 従来の金に比べて鉄は比熱が大きいため,最適設計が必要,(C) 鉄は熱伝導度が低い可能性があり,信号波形のアクシオン吸収位置依存性によりエネルギー分解能悪化の可能性があり,最適設計が必要,(D ) 57Feは大変高価なため,収率の高い鉄吸収体形成のマイクロプロセスが必要,である。 昨年度までに,収率の高い電析(Dの解決)で製作した鉄薄膜の極低温での物性を評価し,それを用いた検出器の熱シミュレーションにより(A)-(C)の課題を解決するマイクロカロリメータの基本概念を得た。本年度は,この概念を実現するマイクロカロリメータの製作プロセス設計を行い,それに従ってJAXA宇宙科学研究所等の設備を用いてインハウスで素子を試作した。この素子を100mKの極低温に冷却し,またアクシオンの代替としてX線を用いて,TES型マイクロカロリメータの基本的な動作を確認した。また,64ピクセルのアレイ型のマイクロカロリメータ素子を念頭に,アレイ素子からの信号を読み出すための超伝導を用いた極低温フロントエンド電子回路の試作もすすめた。この極低温フロントエンド回路は,産業技術総合研究所に協力してもらい,同研究所のCRAVITY設備を用いて製作した。この極低温フロントエンド回路についても,極低温での所定の動作を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で解決が必要な4つの課題を解決できる可能性の高いTES型マイクロカロリメータの設計解を,実験とシミュレーションにより得た。さらに,その設計解に基づいた実際にTES型マイクロカロリメータ素子を試作し,その基本動作を確認するところまで研究をすすめた。この試作素子については,より詳細な評価が必要であるが,磁性体である鉄を超伝導転移端センサー(TES)の直近に設置し,TESを正常に動作させる,という,これまで誰も試みたことのない大きな課題に対して,一定の解が得られたと考えている。加えて,アレイ化した素子を読み出すための,極低温回路の試作もすすめている。以上から,研究は全体として,概ね順調に進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

TES型マイクロカロリメータ素子のより詳細な評価をすすめるととに,素子をアレイ化する設計検討を行う。アレイ化したマイクロカロリメータ素子と,それ用の極低温フロントエンド回路と組み合わせた検出器ヘッドを製作する。これを極低温で動作させようとすると,現状の研究室の希釈冷凍機では極低温と室温を結ぶ配線を敷設しなおすことが必要になる。この実験環境整備を課題として認識し,適切かつ現実的な解決をめざす。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Development of TES Microcalorimeters with Solar-Axion Converter2020

    • 著者名/発表者名
      Konno, R., Maehisa, K., Mitsuda, K., Yamasaki, NY., Yamamoto, R., Hayashi, T., Muramatsu, H., Nakashima, Y., Maehata, K., Homma, T., Saito, M., Sugie, M., Sato, R.
    • 雑誌名

      JOURNAL OF LOW TEMPERATURE PHYSICS

      巻: 199 ページ: 654 662

    • DOI

      10.1007/s10909-019-02257-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A search for a contribution from axion-like particles to the X-ray diffuse background utilizing the Earth's magnetic field2020

    • 著者名/発表者名
      R. Yamamoto, N.Y. Yamasaki, K. Mitsuda and M. Takada
    • 雑誌名

      Journal of Cosmology and Astroparticle Physics

      巻: 2020 ページ: 02 11

    • DOI

      10.1088/1475-7516/2020/02/011

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 太陽アクシオン探査に特化した吸収体を持つ TES 型マイクロカロリメータの開発22020

    • 著者名/発表者名
      紺野良平, 前久景星, 満田和久, 山崎典子, 山本亮, 林佑, 村松はるか, 中島裕貴, 八木雄大, 本間敬之, 斎藤美紀子, 杉江美紗貴, 佐藤瑠美
    • 学会等名
      日本物理学会2020年年次大会
  • [学会発表] Development of TES microcalorimeters for solar axion search2019

    • 著者名/発表者名
      Konno, Mitsuda, K. Yamasaki, N.Y., Yamamoto, R., Hayashi, T., Muramatsu, H., Homma, T., Saitou, M., Sugie, M., Satou, R.
    • 学会等名
      18th International Workshop on Low Temperature Detectors
    • 国際学会
  • [学会発表] Microwave Multiplexing Based on SQUIDs Directly Coupled to Resonators with a View to Simultaneous Readout of 80 TES X-ray Microcalorimeters2019

    • 著者名/発表者名
      Nakashima, Y., Hirayama, F., Kohjiro, S., Yamamori, H., Nagasawa, S., Sato, A., Yamasaki, N.Y., Mitsuda, K.
    • 学会等名
      18th International Workshop on Low Temperature Detectors
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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