研究分担者 |
辻本 拓司 国立天文台, JASMINEプロジェクト, 助教 (10270456)
小林 尚人 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50280566)
河北 秀世 京都産業大学, 理学部, 教授 (70356129)
馬場 淳一 国立天文台, JASMINE検討室, 特任研究員 (90569914)
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研究実績の概要 |
本研究では、銀河系円盤にある恒星の化学組成がどのように変化してきたかを、セファイドなどの脈動変光星をトレーサとしてそれらの運動情報にも注目しながら探る。ターゲットとする天体は、過去の研究で金属量が知られているセファイドと、今後自分たちの観測によって金属量を測定するセファイドの2グループに大別される。前者については、Gaia衛星第2期カタログ(Gaia DR2)による位置・固有運動を用いて銀河系円盤中におけるセファイドの移動などを調査する。後者については、WINERED近赤外線分光器を用いてセファイドの化学組成を測定する手法を確立する。 Gaia DR2を用いた研究としては、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの河田大介博士らとの共同研究により、セファイドの銀河系円盤中での回転運動について研究を行った(Kawata et al. 2019, MNRAS, 482, 40)。銀河系円盤の運動の基本パラメータ(回転速度など)に制限を与え、セファイドの運動の分布に非軸対象な成分があることを示した。数値シミュレーションとの比較も行った。 一方、WINEREDを用いて化学組成を導出するための基礎的な研究として、地球大気吸収線の補正(Sameshima et al. 2018, PASP, 130, 74502)や組成測定に利用できる中性鉄吸収線の同定(Kondo et al. 2019, ApJS, 875, 129)などを行った。さらに、これらの研究成果などを発表するために複数の国際研究会に参加しつつ、共同研究者やWINERED分光器を用いた観測を行う可能性のある研究者らと議論を行った。また、WINEREDのデータ解析や将来の観測について検討を進めるために、Giuseppe Bono博士、Valentina D'Orazi博士(イタリア)やWang Yue博士(中国)らが来日した。
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