研究課題
我々は、可視偏光観測データによる星間磁場の観測結果を、位置天文衛星Gaiaの測定した各々の星までの距離と組み合わせることで、星間物質、及びそこに付随する星間磁場の三次元構造を明らかに出来ることを示した(Doi et al. 2021, ApJ, 914, 122.)。この手法を援用し、銀河系渦巻き腕構造内部の磁場構造を、視線奥行き方向約1キロパーセクに亘って初めて明らかにした。観測の結果、磁場方位角と偏光度が、視線奥行き方向の距離に従って系統的に変化することを明らかにした。更にはGaiaの観測した星間減光の距離依存性から、視線奥行き方向に重なる5つの雲と、それらの雲に付随する磁場が観測データに反映していることを示した。この観測結果から、視線上の複数の磁場コンポーネントの重なり合いを解析することで、個々のコンポーネントを切り分けて取り出すことに成功した。個々の磁場コンポーネントは、差し渡し10パーセク程度の観測領域内で各々非常に良く揃っており、これは磁場構造が、その典型的な空間スケールが10パーセクを上回る、非常に大きの空間スケールの構造であることを示す。一方各々のコンポーネントはそれぞれ銀河面に対し正負の方向に30°~60°大きく傾いて分布している。即ちこれまでの一般的な解釈とは異なり、銀河面内の磁場は、銀河面に垂直に分布することは寧ろ稀であり、大きなスケールの磁場が、距離に応じて銀河面から大きく傾いて分布するという全く新たな磁場構造の描像を示したことになる。銀河スケールの磁場構造について、これまで観測的には全く不明であった銀河面内の垂直方向の磁場方位角分布を、その空間スケールを含めて観測的に初めて明らかにした点で、これは画期的な観測成果と言える。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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