• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

星形成フィラメントのダイナミクスを探る日印気球実験による遠赤外[CII]広域観測

研究課題

研究課題/領域番号 18H01252
研究機関名古屋大学

研究代表者

金田 英宏  名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30301724)

研究分担者 大薮 進喜  徳島大学, 教養教育院, 講師 (10396806)
和田 武彦  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50312202)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード遠赤外線分光 / [CII]輝線 / 気球観測 / 星形成フィラメント
研究実績の概要

2018年度に発覚したアレイ検出器のリーク電流の技術課題について、現在の半導体アレイ設計の構造パラメータを見直し、再製作を行った。低温動作試験にて評価した結果、リーク電流の大幅な改善が確認された。この結果が観測データの性能にどのように影響するかを詳細に見積もり、問題がないとの結論を得た。その後、この検出器を現行の機器に改めてインストールし、分光器システムを再構築・再評価を実施したが、波長分解能が期待される性能を有していないことが発覚した。原因を調査した結果、ファブリペロー光学系の設計に問題があるとの結論に至り、関連する光学系部品の再設計・再製作を行った。
一方、従来[CII]ファブリペロー分光器による大質量星形成領域の観測データが大量に蓄積されつつある。2019年度はその解析ソフトを完成させた。現在、IDLベースから汎用性の高いPythonへ移行を進めている。そのための技術補佐員を雇用した。Herschel衛星による遠赤外線データ、および、「あかり」衛星による中間赤外線データと、本研究による[CII]気球観測データを組み合わせた解析手法を確立した。観測天体のなかで、まずはRCW36に関する成果をまとめて査読付きジャーナルに投稿した(現在、レフェリー対応中)。また、他の複数の天体についても、インド側の共同研究者との活発な議論を行い(2020年2月に名古屋大学で会合を開催)、成果をまとめるための具体的な方針の合意を得た。
なお、2019年4月にインド・ハイデラバードで気球実験を実施した。放球には成功したが、観測途中で分光器の駆動コイルが断線する不具合が発生した。そのため、分光器を日本へ送り返してコイルを新しく置き換え、光学系を再調整してインドに輸送した。2020年3月に気球観測を行う予定で準備を進めたが、コロナウイルスの影響で断念した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ファブリペロー光学系の設計に問題があり、予定していた波長分解能が出せないという不具合が発生した。そのため、関連光学系の再設計・製作を行った。また、コロナウイルスのためにインドへ渡航することが不可能になり、予定していた気球実験が実施できなくなった。

今後の研究の推進方策

整備を終えたファブリペロー分光器とアレイ検出器のシステムを再構築し、総合評価試験を速やかに実施する。低温真空実験を行い、電気系・光学系が正常に動作すること、感度・ノイズが観測要求を満足するレベルにあることを実証する。コロナウイルスの事態が改善し許可が出れば速やかにインドへ観測装置を輸送できるように準備する。現地での機械・光学・電気の噛み合わせを行い、 気球望遠鏡システムとして正常に動作することを、現地の技術者との共同作業で実証する。地上試験はできるだけ速やかに終わらせて、2020年度中の気球観測を目指す。
また、データ解析ソフトをアレイデータに対応させるべく、現行のものに汎用性を持たせる改良を行い、現地での観測中のQuick Lookにも使えるものにグレードアップする。まず、大質量星形成領域RCW36に関する論文を発表し、他の天体についても、インドとの協力により、速やかに成果をまとめ、論文の準備を進める。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Tata Institute of Fundamental Research(インド)

    • 国名
      インド
    • 外国機関名
      Tata Institute of Fundamental Research
  • [雑誌論文] A systematic study of Galactic infrared bubbles along the Galactic plane with AKARI and Herschel. II. Spatial distributions of dust components around the bubbles2020

    • 著者名/発表者名
      Hanaoka, M., Kaneda, H., Suzuki, T., Kokusho, T., Oyabu, S., Ishihara, D., Kohno, M., Furuta, T., Tsuchikawa, T., Saito, F.
    • 雑誌名

      Publications of the Astronomical Society of Japan

      巻: 72 ページ: id.5

    • DOI

      10.1093/pasj/psz123

    • 査読あり
  • [学会発表] 気球望遠鏡を用いた 高解像度・高波長分解[CII]マッピング観測のための Blocked-Impurity-Band型遠赤外線アレイ検出器の開発2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太志、鈴木仁研、金田英宏、大藪進喜、藤原侑、金山健也、下村太誉、和田武彦、石丸貴博、長勢晃一
    • 学会等名
      日本天文学会2020年春季年会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi