研究課題
本研究は、1階電離炭素が出す遠赤外線[CII]スペクトル線を検出する分光器を新たに開発し、インド・タタ基礎科学研究所の口径1 m気球望遠鏡と組み合わせて、インドのハイデラバード気球放球基地にて、星形成領域の観測研究を行うものである。2020年からほぼ3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症による渡航・活動制限のため、結果的に本研究期間内にはインドでの実地観測が行えなかった。しかし、その間、新分光器の評価試験を繰り返し実施し、観測装置性能の向上を進めた。具体的には、読み出し回路のデジタル部の改修や遠赤外線アレイ検出器の電気特性評価、ファブリペロー分光器の極低温動作特性の評価を実施した。遠赤外線アレイ検出器の試験において、ピクセル間の特性ばらつきが非常に大きく、実際の観測において問題が生じる可能性があることが判明した。そのため、新たにアレイ検出器の製作を行った。読み出し回路基板の設計変更・製作、ばらつきの小さい極低温回路チップの評価・選定などを進め、新しいアレイ検出器の製作を完了し、性能の向上を確認した。これらの成果は、名古屋大学2021年度および2022年度修士論文の2本にまとめられた。また、本研究費で雇用した技術支援員によって、[CII]観測データの解析ツール群をPythonコードに置き換えるなどの整備が進められた。また、これらの解析ツールを用いて、既存の[CII]観測データの処理を行い、インドの共同研究者を交えながら、解析手法の最適化を進めた。新型コロナウイルス感染症による渡航規制が緩和されたのち、2023年2月にインド・ハイデラバードを訪問し、現地の気球工学メンバーや共同研究者を交えて、今後の観測計画を再検討するとともに、既存の分光器による試験観測を実施して、プロジェクト再開の準備を進めた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 651 ページ: A30(8 pp.)
10.1051/0004-6361/201935739