研究課題
硬X線まで感度を持たせた高速CMOSセンサを開発し、時間分解能、広帯域感度、さらに撮像分光性能の全てにおいて優れた、宇宙硬X線観測用カメラを開発することが本研究の目的である。申請者は2019年度までに、センサの撮像分光性能を評価し、従来の衛星搭載X線CCDに匹敵する性能を確認した。今年度は衛星搭載を念頭に放射線耐性を評価する実験を行った。具体的にはGTO(静止トランスファ軌道)を想定し、エネルギー100MeVの陽子ビームを、10e10protons/cm^2だけ照射した。センサの場所ごとに照射量を変え、それぞれの場所での撮像分光性能を評価した。その結果、5krad未満の損傷量である場所でも、いくつかの異常ピクセルが発生した。このピクセルではX線の信号電荷がなくても信号波高値がたかくなる、疑似イベントが発生している。ただしこれらの異常ピクセルを除去すると、損傷前と大差ないエネルギー分解能を得ることが出来た。最も損傷量が顕著な場所は100krad超であるが、その領域でも、55FeのMn Ka Kb 輝線を分解できることが分かった。また、重粒子線もセンサに照射したが、ラッチアップは発生しなかった。これにより、軌道上での長期間動作が確実視される。並行して、原子番号の異なるシールドを重ね合わせる Graded-Z シールドを採用したカメラボディを設計および製作した。このカメラボディを用いた放射線耐性を測定することが今後の課題となる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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