研究課題
銀河と銀河間空間の相互作用、銀河間物質の銀河への集積と循環の歴史を探るために、理論計算に基づく研究と、X線での高エネルギー分解能多画素読み出しを可能 とする検出器の開発研究を平行してすすめている。理論的研究においては、公開されている大規模宇宙論シミュレーションデータを解析し、それにX線放射モデルを仮定して観測されるスペクトル,空間分布再構成する手法を確立しつつある。今後エネルギー分解能や空間分解能を仮定した擬似観測をおこない,銀河間物質の観測に必要な感度をきめていく。検出器の開発においては、高エネルギー分解能、空間分解能を実現するために,TES型マイクロカロリメータの多画素化,およびそれを読み出す回路の開発を行なっている。2019年度はTESの低温での特性を効率よく測定するためにACレジスタンスブリッジを導入した。多素子を同時に測定することができる。GHz多重化読み出し回路となる超伝導共振回路の設計、製作でをおこない,カロリメータと共振回路の結合試験を実施した。良好な結果をえており,論文にまとめるために解析をおこなっている。
2: おおむね順調に進展している
理論的研究も大規模データを処理しつつX線観測データの再現が行なえている。また検出器の開発においても製作,開発が順調にすすみ,結合試験を行なえている。ただし,COVID-19の影響により,意図していた2020年3月の国際研究集会への参加ができなくなった。この研究会は従来のエネルギー分解能ではあるものの全天サーベイを行なっているeRosita衛星の最新成果発表が予定されていた。2020年度まで費用の持ち越しを行なったが結局研究集会はキャンセルされてしまった。
理論的研究は,擬似観測データの作成により大規模構造形成をしつつある高温プラズマが,どのように観測されるか,そのために必要な感度はなにか,を定量的に把握をすすめる。検出器開発においては,2019年度の検出器と読み出し回路の結合試験の結果を解析し,より読み出しチャネル数を増やすには何が律速しているかを明らかにしつつ,広帯域化によるより多チャンネル化をすすめる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 29 ページ: 1~5
10.1109/TASC.2019.2905688