研究課題
本研究では,2020年代の惑星着陸探査に向けて小型軽量な質量分析システムを開発している.惑星の起源と進化を探るうえで,惑星の元素組成や同位体比は極めて重要な情報である.このため,惑星探査において元素分析は最重要観測項目の一つとなっている.ところが,固体物質の「その場・多点」質量分析は,複雑な機構のロボティックアームの実装が想定されるなど,工学的ハードルの高さゆえに日本の探査機での実施が困難であった.そこで本研究では,サンプルハンドリング機構無しで固体物質の元素分析が可能な,シンプルで小型軽量の質量分析システムを開発している.この技術が成功すれば,日本の中型・小型・超小型探査機による,月・火星および小天体の固体物質分析の現実性は飛躍的に増し,多種多様な惑星科学ミッションの可能性が広がる.2020年度は,(1)質量分析器,(2)宇宙機搭載用真空バルブ,(3)宇宙機搭載用超小型真空ポンプ,(4)岩石サンプルからの脱ガスのための赤外レーザ,の4点について制御・動作試験を実施する計画であった.(1)ー(4)のそれぞれについて,同一の小型真空槽に取り付けた状態で,マススペクトルの取得,バルブの開閉動作試験(ドライバを新規製作),ポンプの動作試験と取り付け指向性の把握,レーザ強度の確認,など一連の作業を実施した.これにより,上記の各要素を組み合わせた一つのパッケージとして今後の探査に用いるための初期結果を得ることができた.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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