研究実績の概要 |
本研究では太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects; TNOs)による恒星の掩蔽現象を観測することで、kmサイズのTNOのサイズ頻度分布を決定し、その形状から太陽系初期の外縁部の環境や巨大氷惑星の移動プロセスを明らかにすることを目標に置く。この目的を達成するために、東京大学天文学教育研究センター木曽観測所(長野県木曽郡)105cmシュミット望遠鏡用の広視野動画カメラTomo-e Gozenを完成させた。今年度はTomo-e Gozenが生成する広域動画ビッグデータを高速に処理するソフトウエアの開発と解析済みデータを格納・配布するデータベースシステムを開発し実装した。データ処理ソフトウエアは東京大学木曽観測所内(長野県木曽郡)に、データベースシステムは東京大学本郷キャンパス内(東京都文京区)にそれぞれ設置した計算機に実装した。Tomo-e Gozenを用いて2フレーム毎秒の広域動画サーベイを年間の大部分の晴天夜に実施した。大量の星の光度曲線を解析することでTNOの掩蔽に起因する短時間変動の探査を実施したが検出には至らなかった。また、TNOの大気の有無や表面形状の導出を目指し、既知のTNOの掩蔽予報に対してTomo-e Gozenによる高速連続観測を実施した(3317 Paris, 54598 Bienor, 20000 Varuna, 60558 Echelus, 2013LU28)。本研究での成果を国際研究会で発表する予定であったが新型コロナウイルスの影響で中止となった。
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