研究課題/領域番号 |
18H01275
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 周司 東北大学, 理学研究科, 教授 (00183129)
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研究分担者 |
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / 炭素同位体比 / 酸素濃度 / 全球3次元大気化学輸送モデル / 陸域生態系モデル |
研究実績の概要 |
日本-オセアニア間および日本-北米間を航行するコンテナ船や日本上空およびシベリア上空を飛行する航空機を利用した大気試料の採取と採取された試料分析を継続した。また、北極ニーオルスン基地、北極チャーチル基地、南極昭和基地などを利用した系統的な大気採取と試料分析も継続し、広域にわたる大気中の二酸化炭素(CO2)濃度と酸素(O2)濃度および二酸化炭素の炭素安定同位体(δ13C)のデータを蓄積することができた。また、昭和基地・ニーオルスン基地でのCO2・O2濃度の連続観測も順調に経過し、ほとんど欠測がないきれいなデータを得ることができた。 大気大循環モデルを基にして開発された全球3次元大気化学輸送モデル(ACTM)に、人為起源である六フッ化硫黄(SF6)や陸域起源であるラドン(222Rn)のインベントリーを与えて大気中濃度を計算し、地上基地や航空機などを用いた全球規模にわたる観測の結果と比較することによってACTMの輸送場を検証し、必要な改良を行った。さらに、全球を84領域に分割した高解像度のインバージョンスキームの開発と、ACTMに組み込むためのδ13CとO2濃度の計算モジュールの開発を進めた。 陸域における温室効果気体フラックスをシミュレーションする陸域生態系モデル(VISIT)を高度化し、CO2のδ13Cの分布も推定できるような改良を進めた。VISITによって与えられるCO2フラックスおよびδ13Cと、大気化学輸送モデルによる推定結果との比較を進めた。その結果を踏まえて、VISITのパラメータ最適化やベースマップの妥当性の検討も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北半球高緯度の北極域から南半球高緯度の南極域までの全球スケールの二酸化炭素濃度観測が順調に進められた。また、船舶や航空機などの機動的な手段や地上基地においてグラブサンプリングによって採取された世界各地の空気試料を用いて、二酸化炭素の炭素同位体比や酸素濃度の分布や変動の観測データも順調に蓄積することができた。連携研究者であるパトラおよび伊藤は、これらの観測データを活用したモデルシミュレーションに用いるための3次元大気化学輸送モデルおよび陸上生態系モデルの改良を順調に進めた。 一方、2020年3月19日に計画していた年度末研究打合せは新型コロナ感染問題が起きたため延期せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
日本とオセアニア間および日本と北米間を航行する定期コンテナ船上、北極ニーオルスン基地、北極チャーチル基地、南極昭和基地、日本上空とシベリア上空での航空機による系統的な大気採取と試料分析を継続し、広域にわたる大気中のCO2・O2 濃度およびdelta 13C のデータを蓄積する。 全球3次元大気化学輸送モデル(ACTM)を用いた高解像度のインバージョンスキームの開発と、ACTMに組み込むためのdelta 13CとO2濃度の計算モジュールの開発を進める。また、全球陸上生態系モデル(VISIT)を高度化し、CO2のdelta 13Cの分布も推定できるように改良する。さらに、VISITによって与えられるCO2フラックスおよびdelta 13Cを、大気化学輸送モデルによる推定結果と比較する。その結果を踏まえて、VISITのパラメータ最適化やベースマップの妥当性の検討を行う。
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