研究課題
本課題は、南極でのスーパープレッシャー(SP)気球観測により、下部成層圏大気重力波の運動量フラックスの水平分布・確率密度分布を取得し、南極昭和基地大型大気レーダー(PANSY)で得られる運動量フラックスの時間高度断面と組み合わせることで、南極域における大気重力波による運動量輸送の3次元的描像を得ることを目的としている。2020年度はスーパープレッシャー気球観測で使用する気球および搭載測器の開発・試験を行った。気球については、観測で使用するものと同サイズの試作気球を用いたガス充填作業の訓練を2021年2月16日に国立極地研究所観測倉庫で、気球の耐圧・気密試験を2021年3月22-24日に大気航空宇宙実験場で実施した。搭載測器については、メーカー側と協力してソフトウェアの開発を行い、試作機を2機製作した。これらの詳細を記述した査読付き論文(和文)2編を出版した。南極での気球飛揚に必要な手続きについて、国立極地研究所南極観測センターや宇宙科学研究所からの協力を得て関係省庁(環境省、国交省)との調整を行った。上記とともに、放球方法の検討、飛翔中のフライトコントロールとQLシステム、取得データの解析システムに関する検討を進めている。PANSYデータと最新の大気再解析データ(ERA5)を用いて夏季対流圏・下部成層圏における慣性重力波の事例解析を行った。この事例については、ERA5の鉛直風がPANSYと比べて重力波振幅を過小評価していることが分かった。PANSYデータ1年分を用いた重力波の間欠性に関する研究内容をまとめ、論文発表した。重力波の間欠性は対流圏より成層圏が低い、成層圏では夏季より冬季の方が低い特徴がある。また、重力波顕著イベントが年に2回発生し、間欠性に大きく影響していた。本結果は、先行研究で行われた冬季成層圏だけでなく、対流圏や夏季成層圏の観測も重要であることを意味する。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 9件、 招待講演 2件)
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