研究課題/領域番号 |
18H01282
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢士 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30304497)
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研究分担者 |
森 修一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), プログラム長代理 (00344309)
大石 哲 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30252521)
勝俣 昌己 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), グループリーダー代理 (50359147)
中川 勝広 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所リモートセンシング研究室, 室長 (80359009)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 帯電電荷測定 / 降水粒子 / 400MHz帯ラジオゾンデ搭載 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、雷研究に飛躍的な発展をもたらす新たな観測機器の開発を行うもので、開発する観測機器は、降水雲内の降水粒子の帯電電荷をリアルタイムで容易に測定でき、かつ小型軽量・低コストな新しい高層気象観測機器である。この開発のため、初年度は主に、信号処理系、データ伝送系の開発を行い、実際の降水雲への試験放球の結果、概ね良好な結果を得た。これを受けて2019年度(当該年度)は、6月に沖縄・琉球大学キャンパスにおいて、30年前に開発された旧型の電荷ビデオゾンデと本研究課題で試作したプロトタイプの同時放球を実施した。合計3回の試験放球を実施したが、旧型のビデオゾンデの動作不良により性能比較に十分な観測データを得ることはできなかった。しかしながら、新型プロトタイプの単独放球を行った2回の観測結果からは、信号処理系、データ伝送系は正常に作動していることが確認された。ただし、得られたデータには多くのノイズデータが含まれていることがわかり、改良の必要性が明らかになった。この試験放球の結果を受けて、電荷測定センサー部および筐体部分の改造を行い、それを用いて、山形県新庄にある防災科学研究所・雪氷研究センターの人工降雪装置を用いて、地上での比較試験を行った。その後、改良を重ね、現在は改良版プロトタイプが製作され、それを用いた実験室内での試験では良好な結果を得るに至っている。2020度(最終年度)は、降水雲への試験放球を行い、性能比較・評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は降水粒子の帯電電荷を測定する新しい観測機器の開発を目的としている。3か年での完成(実用化)を目指し、初年度は信号処理部、データ送受信部の開発を中心に行い、2018年3月には試験放球を実施した。その結果を受けて、2年目の2019年6月には再度本格的な試験放球を実施し、送受信部、信号処理部の正常な動作を確認した。ところが、センサーによる異常なノイズが見られたため、電荷測定部(センサー)および筐体部の改良を行い、人工降雪装置による地上試験を実施した。その後も改良を重ね、現在では実験室内での正常な動作を確認するに至っている。最終年度は再度試験放球を実施し、性能評価を行うとともに、リアルタイムモニタリングのためのソフトウェア開発にも取り組む予定であり、当初の計画どおり、3か年での実用化に目途がたっている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度および当該年度の研究開発成果を受けて、最終年度は実用化に向けて、降水雲内への試験放球による性能比較・評価の実施し、その成果を関連学会および学術雑誌に投稿する予定である。また、リアルタイムモニタリングのためのソフトウェア開発を行うとともに、本研究課題の「開発」ステージの完了を迎えるにあたり、次年度以降に向けた新しいステージとして、この新しい観測機器を用いた本格的な雷研究(観測、モデルを統合した観測研究)の計画に着手する予定である。
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