研究課題/領域番号 |
18H01291
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (00378548)
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研究分担者 |
長橋 良隆 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (10292450)
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
M Satish‐Kumar 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313929)
齋藤 武士 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (80402767)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 火山泥流 / 小規模噴火 / 湖底堆積物 / 安達太良火山 / 磐梯火山 / 水蒸気噴火 / ラハール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,未知の小規模噴火とそれに関連した火山泥流の発生履歴を解明することで,従来では正確に捉えられなかった小規模噴火活動の実態を明らかにし,火山災害リスクの再評価を行うことである。本研究は,火山周辺の平野地下や湖底下の地層中に挟まる火山泥流堆積物を解析し,その特性や年代に基づき,小規模噴火の履歴,噴火様式(マグマ噴火か水蒸気噴火か),噴出温度を復元することを試みる。活動的な安達太良火山・磐梯火山をモデルケースとして,火山下流の平野と湖底のコア堆積物を用い,高時間分解能での解析を行う。 本年度は,猪苗代湖でのコアリングによる試料採取を計画し,年度中盤まではその準備に取りかかった。前年度に採取した陸上ボーリングの磐梯火山南麓斜面の1地点(25m深),安達太良火山西麓の酸川盆地の1地点(32m深)について解析を進めた。そのうち磐梯火山南麓(25m深)コアは,深度18.6mのところに基盤岩である白河火砕流堆積物が認められた。新たに得られた14C年代値から,基盤岩を直接覆う翁島岩屑なだれ堆積物(50000年前)から深度約7.5m付近にある有機質シルト層(約33,000から32,000年前:暦年較正値)までの間に,土石流あるいは岩屑なだれの堆積物が少なくとも6層あることが明らかとなった。対して30000年前以降現在に至る堆積物は河川性の堆積物が卓越することから,30000年前頃を境に,堆積場あるいは後背にある磐梯火山からの土砂供給が大きく変化した可能性がある。 さらに,既存の湖底コアの再検討(粒度分析・化学分析・粘土鉱物解析・安定同位体分析)や周辺の地質調査を行い,結果の一部を論文として公表し,国際会議においても発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施するはずだった湖底コアリングについて,採取業者より当初計画した方法では実施が不可能であり,使用機材の変更の申し出があった。他の方法で試料採取する委託業者を探したが,業者のスケジュールの都合上,年度内に実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
重要な湖底コアリングが次年度となるが,土砂採取に係る許可申請など事前準備を進めており,夏以降のなるべく早い時期に,湖底堆積物の採取を行う。その後,迅速にコア記載を行い,イベント堆積物の抽出を行う。その間は,これまでに採取した陸上コアおよび既存の湖底コアの解析を進める。
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