研究課題/領域番号 |
18H01299
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻森 樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00436833)
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研究分担者 |
平野 直人 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (00451831)
市山 祐司 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (90625469)
木村 純一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 分野長代理 (30241730)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プレート境界岩 / 高圧変成岩 / 緑色岩 / 局所分析 / 経年変化 |
研究実績の概要 |
本研究は、プレート境界岩の造岩鉱物からこれまで未読であった情報を迅速かつ大量に抽出し、太古代~顕生代の造山帯の緑色岩・高圧変成岩を研究対象に、プレート境界のプロセスと経年変動を高次元に読み解くことを目的とする。未読情報の総合解析から固体地球の進化史を物質科学的に検証し、先端的な分析手法を付加体地質学・変成岩岩石学に応用することで再生地殻成分の大循環と固体地球の長周期変動の体系化を目指す。プレート境界岩から物質科学的に抽出可能な情報を再構築し、新しいプロトコルを確立する。本年度は目的達成のために、プレート境界の変成岩試料(変成海洋玄武岩、変成遠洋性堆積岩、蛇紋岩など)について、局所同位体比分析に基づく物質収支の体系化を目指した分析収集データを行った。それにより、変成鉱物(ローソン石、緑れん石、蛇紋石、ひすい輝石など)の軽元素(ホウ素、リチウム)と鉛・ストロンチウムの同位体組成を系統的に得た。同位体組成の特徴及び、同位体比分別と元素分配を利用することで、プレート沈み込み帯深部での水流体の移動のスケールの素過程の束縛を行った。とりわけ、沈み込み帯深部で結晶成長したローソン石からは、世界で初めて1つの結晶内における鉛とストロンチウム同位体組成の累帯構造を検出することに成功した。その成果を基軸に、「ローソナイトロジー」として、ローソン石の局所地球化学的手法を用いたプレート境界岩の解析の優位性を示した。本年度までに得られた成果の一部は、国内外の学会で多数発表(招待講演を含む)し、国際学術誌に論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究が着目した変成鉱物の軽元素及び、鉛・ストロンチウム同位体組成の抽出に成功し、それらのデータからどのような情報が読めるかについて、国際誌に論文として公表し、本研究の有効性を学界に示すことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
プレート境界のプロセスと経年変動を高次元に読み解くために、初年度までに得られた知見を生かし、古原生代から顕生代の岩石試料のシステマティックな解析を効率的に進める。
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