研究課題
2018年度は、「改良型地球電場計測システム（EFOS-X）」について、深海潜水艇を用いた設置および回収方法の検討を含めた設計を行い、観測機器システムを作成した。これらに加えて、周期３時間から１日の周期帯において、地磁気静穏日日変化（Sq磁場変動）によってグローバル１次元地球に誘導される電磁場と、同様の構造をもった平面地球に同じ周期帯の平面電磁場が入力することによる電磁場が混在する場合に得られる電磁応答関数に関する統計的な調査を行った。海陸分布や海底地形の影響による地表付近の電気伝導度不均質を考慮した、球状地球と平面地球における Sq 磁場変動による電磁誘導の差を評価する方法について検討した。2019年度は、EFOS-X の改良や周辺機器の調達と「しんかい6500」を用いた設置手順の確認等、試験観測に向けた準備を継続した。しかし、2019年8月3日から16日に予定されていた機器設置航海は、連続して発生した台風の影響により調査予定海域に到達することができず、設置はできなかった。解析においては、海洋潮汐流による誘導電磁場を求めるグローバルスケールの数値計算プログラムの開発を行った。また、研究成果の一部を、学会発表および論文として公表した。2020年度も引き続き、EFOS-X の改良を継続した。特に、「しんかい6500」がケーブル展張装置を確保する位置の形状を変更し、展張時の安定性向上を計った。EFOS-X を用いた試験観測を青ヶ島東方沖の水深約 2400 mの海底において１年間実施する計画が採択され、観測に向けて準備を行った。設置航海は 2021年6月初旬に予定されている。解析においては、Sq 磁場変動および海洋潮汐流による誘導電磁場を求めるグローバルスケールの数値計算プログラムの開発を継続した。また、研究成果の一部を、学会発表および論文として公表した。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに、2018年度に EFOS-X システムの作成を完了し、2019年度はシステムの改良を行った。2019年度に実施予定であった試験観測は海域の状況により実施できなかったが、2021年度に実施することが採択され、この試験観測に向けたシステムの改良と準備は順調に進んだ。解析手法の開発については、Sq 磁場変動による電磁誘導の評価や海洋潮汐による電磁誘導計算手法の開発等、ほぼ予定通りに進んだ。
今年度に予定されている観測公開の準備を細心の注意を払って進める。また、解析手法の開発と、既存の海底電磁場データを用いた解析を継続する。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件)
Earth, Planets and Space
巻: 72 ページ: -
10.1186/s40623-020-1133-4
10.1186/s40623-020-01273-4
Geophysical Journal International
巻: 222 ページ: 1502～1525
10.1093/gji/ggaa221
10.1186/s40623-020-01253-8
