研究課題/領域番号 |
18H01304
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木下 正高 東京大学, 地震研究所, 教授 (50225009)
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研究分担者 |
岩森 光 東京大学, 地震研究所, 教授 (80221795)
阿部 なつ江 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 主任技術研究員 (80302933)
井尻 暁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (70374212)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | チリ三重会合点 / 巨大地震 / 沈み込み帯の熱構造 / 熱流量 / 熱水循環 / タービダイト |
研究実績の概要 |
海溝型地震の規模に関する沈み込むプレートの熱構造の関与を明らかにするため,チリ三重会合点(CTJ;南緯46 度,西経76 度付近)への調査航海が決定していた.既往研究のレビュー・既存データ再解析等に基づき,最適観測点配置を決定した.決定にあたっては,木下が熱構造計算を,分担者の岩森が沈み込むプレートのダイナミクスを,阿部が海嶺中軸部の火成活動をレビューした. 観測・分析機器の整備や乗船者間の観測・研究計画を調整した.また観測海域がチリEEZ内部であるため,本予算により事前にチリ政府機関を訪問し,調査許可を得るための説明を行った.併せてチリ大学・コンセプション大学研究者との打ち合わせを行った。 MR18-06航海(第2レグ)を,海洋研究開発機構の調査船「みらい」により,2019年1月14日~1月24日に実施した.出入港はチリのバルパライソ港で,CTJ海域まで片道約3日を要したため,実質5 日間程度であったが,浅部反射法探査(4 測線)、熱流量測定(6 点),ピストンコアリング(6 点)、ドレッジ(2点),海底地震研設置(13 点)が実施された. 海域既存データをチリ側研究者から入手し検討した結果,陸上での追加の観測が必要になることが判明したため,研究費の一部を2019(令和元)年度に繰り越した.しかし2019年9月、相手国の事情により、繰り越し予算で実施予定の観測ができないことが判明した。そのため再度繰り越し,陸域観測の延期等の計画変更を行った.2020年(令和2年),陸上観測の準備を進めていたが,新型コロナ感染のために十分な観測期間を確保した実施が不可能となった.一方海底地震計の回収が,相手国の事情により繰り延べになっていたことから,本繰り越し予算による回収に変更し,2020年2月,チリ海軍の船により装置・データの回収に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度交付申請書に記載の項目は,上述の通りほぼ完遂した.より正確な熱構造計算のため,一部を繰り越したが,当初予定した陸上地震観測ができなかった.その代わり,海底地震計の回収が最終年度に実現したことは,陸上データの欠落を補う成果であった.
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今後の研究の推進方策 |
研究の第二年度として,高知大学海洋コア総合研究センターで,共同利用によりコア試料のX線CTスキャナーによる内部構造撮影、間隙水化学分析、密度・間隙率等の物性計測、元素組成スキャン,年代測定用サンプリング等を実施する.併せて熱モデル計算を継続し,成果を国内外の学会で発表する.
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