研究課題/領域番号 |
18H01306
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
中東 和夫 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90709346)
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研究分担者 |
山田 知朗 東京大学, 地震研究所, 助教 (40323654)
八木原 寛 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (60295235)
山下 裕亮 京都大学, 防災研究所, 助教 (80725052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 背弧海盆拡大 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は海域における総合観測から「活動的背弧海盆での大地震発生様式」「沖縄トラフの拡大プロセス」を明らかにすることである。研究対象領域は2015年に薩摩半島西方沖地震が発生した北部沖縄トラフである。研究目的を達成するために海底地形・地層調査、海底地震・磁力同時観測を行い、北部沖縄トラフの上部マントル不均質構造を明らかにし、不均質構造と地震発生・背弧海盆拡大プロセスとの関係を明らかにする。 2018年度は8月に長崎大学水産学部練習船「長崎丸」航海において九州周辺海域での調査を行った。航海計画では2017年薩摩半島西方沖地震の震源域である北部沖縄トラフでは海底地形・地層調査を行う予定であった。しかし、台風の接近による荒天により航海計画が変更されたため海底地形・地層調査は実施することが出来なかった。一方、沖縄トラフの背弧海盆拡大に影響を与えていると考えられる、前弧域の沈み込み帯である北部琉球海溝周辺においては長期観測型海底地震計の回収設置作業を行うことが出来た。 長崎丸は2018年3月に竣工され、サブボトムプロファイラ・マルチナロービーム測深機は新たに装備された観測機器である。そこで中之島周辺海域においてテスト観測として、サブボトムプロファイラ・マルチナロービーム測深機の同時観測を行い、音波の干渉状態や音波発振間隔の違いによる海底・地下イメージの解像度の違いなどを確認した。このテスト観測の結果、同時観測を行ってもサブボトムプロファイラでは良好な地下構造イメージを得ることが出来ることが確認できた。また、2019年度に開始予定の長期海底地震・磁力観測に向けて観測装置のランニングテスト・観測手法の検討など観測準備作業を開始した。本研究では大容量の地震波形データを用いた研究を行う予定である。そこで大容量ハードディスクを搭載した解析用ワークステーションの整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は薩摩半島西方沖地震震源域の海底地形・地層調査を中心とした調査・観測を実施予定であった。しかし、当初予定していた海域調査が台風による荒天により実施できなかったこともあり、研究計画に比べ遅れている。予定が変更となった2018年8月の長崎丸航海では船に搭載されているサブボトムプロファイラ・マルチナロービーム測深機の動作確認を行い、搭載機器の操作方法や性能について把握することが出来た。これにより2019年度の観測計画を立てるために有用な情報を得ることが出来た。一方、男女群島女島など北部沖縄トラフ周辺の離島で行っている臨時地震観測のデータ収集作業は予定通り実施した。 2019年度は4月と8月の2回の調査を長崎丸にて実施予定である。そこで2018年度は新たに開始予定の長期海底地震・磁力観測に向けて観測装置のランニングテスト・観測手法の検討など観測準備作業を開始した。さらに本研究では大容量の地震波形データを用いた研究を行う予定である。そこで大容量ハードディスクを搭載した解析用ワークステーションの整備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は4月と8月の2回の調査を長崎丸にて実施予定である。4月の航海では観測対象領域の海底地形と地層調査および男女群島女島で九州大学が実施している臨時地震観測点のデータ回収作業を行う予定である。8月の航海では海底地形と地層調査、長期観測型海底地震・磁力計(OBSM)の設置作業を行う予定である。地層調査はトラフ軸に垂直な方向に長さ約40kmの測線8本を設定し実施予定である。同時にマルチナロービーム測深機を用いた海底地形調査を実施予定である。海底観測は東京大学地震研究所所有の長期観測型海底地震計に東京海洋大学が所有する磁力計を搭載したOBSMを5台、薩摩半島西方沖地震震源域に設置して開始する。海底観測は2020年8月まで継続する予定である。また海域での地震観測と並行し、女島以外の離島地震観測を含む陸域での地震観測データの収集を進め、走時トモグラフィー解析に向けてデータ処理を行う。
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