研究課題
核実験以前の海洋表層水に由来する放射性炭素年代値は,日本周辺では大気起源の値よりも200~1000年古いことが知られている.一方,九州から韓国沿岸の完新統に含まれる海生生物遺体の放射性炭素年代値は,同層準の大気起源の陸源植物試料よりも同程度古い年代値を示す.こうした海洋リザーバー効果は,海洋起源試料の放射性炭素年代値を暦年に較正する際の障害となるため,地球科学,自然地理学,考古学,歴史学などの学術分野で問題となっている.こうした問題を解決する糸口として,関東平野,宿毛平野,高知平野,宮崎平野,台湾南西部,隠岐諸島,清水平野,富士川河口の完新統における研究成果が,Scientific ReportsとIsland Arc,地質学雑誌,高知大学理工学部紀要,宮崎大学教育学部紀要,月刊地球,国際火山噴火史情報研究集会講演要旨集等に掲載された.また,釧路市,三陸海岸,菊川平野,濃尾平野,簸川平野,宿毛平野,博多湾,台湾南西部における研究成果を国際AMS学会,地球惑星科学連合大会,日本第四紀学会,日本地理学会等で発表した.清水平野の研究成果はSpringer NatureのIsland Civilizationsで公表される予定である.釧路市および三陸海岸の研究成果はそれぞれNuclear Instruments and Methods in Physics Research Bに,隠岐諸島の研究成果は第四紀研究に投稿中であり,迅速に査読対応をして掲載を目指している.富士川河口および濃尾平野,台湾南西部の研究成果はRadiocarbon国際学会で発表して国際誌として公表する予定である.上記のデータを基にして,海洋リザーバー効果を生じさせる要因を詳しく考察して,日本周辺の海洋放射性炭素年代値を暦年較正するための数値モデルを検討する.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 10件)
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 650
10.1038/s41598-021-04660-3
Island Arc
巻: 31 ページ: e12452
10.1111/iar.12452
国際火山噴火史情報研究集会講演要旨集
巻: 2021-2 ページ: 48-50
高知大学理工学部紀要
巻: 5(6) ページ: 1-15
巻: 30 ページ: e12422
10.1111/iar.12422
巻: 2020 (2) ページ: 24-26
月刊地球,号外
巻: 70 ページ: 76-88
巻: 70 ページ: 89-99
宮崎大学教育学部紀要
巻: 97 ページ: 60-84
日本第四紀学会・リモートシンポジウム講演要旨集
巻: 1 ページ: 91-93
地質学雑誌
巻: 126(9) ページ: 493-517