研究課題
本年度は,国内外の複数の研究機関などから入手した標準試料候補となる7種類のモナズ石(44069, 16-F-6, Namaqua-1, Namaqua-2, Bz-1, Bz-2, SR-1)から,FE-EPMAとLA-QP-ICP-MSを用いて,主要元素と微量元素の均質性およびU-Th-Pb年代をチェックした.その結果,Bz-1モナズ石を除く他の試料については概ね均質な組成と年代が得られたため,その6試料についてTIMSにてSrおよびNd同位体比測定を実施した.また,LA-MC-ICP-MS分析では,モナズ石の局所分析のためのレーザー条件を決定し,TIMSでのNd同位体比のデータを基に,Namaqua-1もしくはNamaqua-2をスタンダードとして,モナズ石のNd同位体比分析の立ち上げを行った(現在継続中).来年度内に分析条件を精査し,同位体測定システムの確立を目指す.これらの結果に加えて,来年度に予定していた天然の花崗岩試料を用いた分析について,一部の花崗岩(4試料)については本年度前倒しで,①TIMSを用いたSrおよびNd同位体比の測定,②各試料からジルコン・アパタイト・モナズ石の分離・マウント,③モナズ石のU-Th-Pb年代測定,④CLを用いたジルコンの内部構造観察を実施した.また,ジルコンのHf同位体比を測定するためには,同じジルコンのU-Pb年代測定の空間分解能を上げることが重要であるため,本年度はエキシマレーザーとQP-ICP-MSを接続することで,空間分解能の向上に取り組み,今年度は15ミクロンでの年代測定を行うことが可能となった.来年度は,全ての分析について,レーザーガスにN2を混入させることで,さらなる分析精度と空間分解能の向上を図る予定である.
1: 当初の計画以上に進展している
予定したモナズ石のNd同位体比の立ち上げに加えて,来年度に予定していた天然の花崗岩試料を用いた分析について,前倒しでの分析を行うことができたことが非常に大きい.また,ジルコンの年代測定を従来の半分の径で行うことができるようになったことで,より正確なHf同位体比分析が可能となった.さらに来年度は,全ての分析について,レーザーガスにN2を混入させることで,さらなる分析精度と空間分解能の向上を図る予定であり,このことは研究計画全体を大きく飛躍させるものである.
当初予定通り,来年度にアパタイト・ジルコン・モナズ石を用いたマルチ同位体比測定システムを確立し,その手法について国際誌にまとめる.それ以降については現段階では計画書通り,同システムを砕屑性岩に適応し,砕屑性ジルコンだけでは解釈が難しい地質体について,本同位体測定システムの有用性を検証する.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Minerals
巻: 9 ページ: 1-18
10.3390/min9020089
Physics and Chemistry of Minerals
巻: 46 ページ: 63-76
10.1007/s00269-018-0988-4
Microchemical Journal
巻: 139 ページ: 268-277
10.1016/j.microc.2018.03.005
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 156 ページ: 122-144
10.1016/j.jseaes.2018.01.017
巻: 8 ページ: 1-17
10.3390/min8050204