研究課題
これまでのベトナムやモンゴルの砕屑性岩を対象とした研究成果に加え,未だ地質学的な帰属が明らかではない国内の黒瀬川帯および三郡蓮華帯の岩石について,本研究手法である砕屑性岩中のジルコンのU-Pb年代,Hf同位体比,モナズ石のNd同位体比を用いた検討を実施した.野外調査により採取した岩石とこれまでの研究で採取した試料あわせて15試料から,ジルコンとモナズ石を分離した結果,多くの試料からジルコンは分離できたものの,モナズ石を得ることができなかった.このことは,黒瀬川帯や三郡蓮華帯のような塩基性岩を主体とする地質体には,周囲の堆積岩中に砕屑性モナズ石が含まれにくいことをしめしている.以上の結果とこれまでの研究結果から,ジルコンのU-Pb年代,Hf同位体比,モナズ石のNd同位体比を用いた本分析手法は,花コウ岩の精密解析や花コウ岩体を後背地とするような砕屑性岩,付加体のような堆積岩を主とする地質体の精密解析には極めて有効であるといえる.一方で,塩基性岩体が主体の地質体に分布する砕屑性岩には,モナズ石が含まれないことが多いことも明らかとなり,本研究手法を用いた砕屑性岩の解析は,その構成岩類から解析可能かを判断する必要がある.研究成果の公表について,研究最終年度である本年度は,モンゴル・ゴビアルタイ山地の変成岩中の砕屑性ジルコンを用いた研究成果を国際誌に報告した.また,モナズ石とアパタイトのレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計を用いたNdおよびSr同位体分析手法については,昨年度までの結果を踏まえ,本年度に最終的な分析を終え,現在投稿準備を進めている.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件) 学会発表 (4件)
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