研究課題/領域番号 |
18H01317
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
野木 義史 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (90280536)
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研究分担者 |
佐藤 太一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50613246)
藤井 昌和 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (80780486)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地磁気異常 / 海洋底拡大 / 大陸分裂 / 白亜紀スーパークロン / 海嶺系 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、地球物理観測とデータの統合的解析を通して、白亜紀スーパークロンを中心とした、インド洋におけるゴンドワナ大陸分裂の初期過程の解明を目的とするものである。以下、平成30年度の本研究課題の実施概要を示す。 南インド洋の既存の地磁気異常、重力異常および海底地形データの収集・整理を行い、南西インド洋海嶺周辺からコンラッドライズまでを中心に、現在から白亜紀スーパークロンの終了するC34(約8400万年前)までの年代同定や海底拡大史の再検討を行った。特に、南西インド洋海嶺と南東インド洋海嶺の初期拡大の境界域となる、マダガスカル海嶺およびデルカノライズ周辺での地磁気異常を用いた年代同定の再検討の結果、マダガスカル海嶺およびデルカノライズが過去一体であった可能性を示した。また、スリランカ沖に関しても研究を進め、研究調査船「Sonne」で取得したデータの解析と年代同定、地殻の厚さの推定等を行った。 また、研究調査船「白鳳丸」航海において、上記既存データの再検討を元に、鍵となる観測域を選定し、コンラッドライズ周辺を中心に、地磁気異常、重力異常および海底地形観測を実施した。 さらに、今後の海上における地磁気異常観測の精度を上げるため、海上曳航型オーバーハウザー全磁力計を本課題で購入した。本海上曳航型オーバーハウザー全磁力計の国内試験を神戸大学附属練習船「深江丸」により実施し、良好な結果を得た。また、本海上曳航型オーバーハウザー全磁力計の観測の使用を含め、次年度予定されている研究調査船「白鳳丸」航海の観測準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南インド洋の既存の地磁気異常、重力異常および海底地形データの収集・整理を順調に行い、新たな海底拡大史の検討が進んでいる。加えて、既存データの再検討を元に鍵となる観測域を選定する事ができ、当該年度に実施された研究調査船「白鳳丸」航海において対象域での観測を実施する事ができた。スリランカ沖の研究に関しても順調に実施した。 さらに、海上曳航型オーバーハウザー全磁力計を本課題で購入し国内試験を実施し、良好な結果を得、次年度予定されている研究調査船「白鳳丸」航海において、海上における地磁気異常観測の精度を上げるための観測準備も実施する事ができた。 以上から、本研究課題において、当該年度の予定通りの内容をほぼ着実に実施できた事から、区分(2)とする。
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今後の研究の推進方策 |
南インド洋の既存の地磁気異常、重力異常および海底地形データの再検討に関しては、研究調査船「白鳳丸」航海で得られた新たなデータを加えた解析を進める。特に、南西インド洋海嶺周辺からコンラッドライズまでを中心に海底拡大史の検討を進め、スリランカ沖の解析結果と合わせて、白亜紀スーパークロンを軸として、インド洋におけるゴンドワナ大陸分裂の初期過程解明に関する研究を推進する。加えて、海上曳航型オーバーハウザー全磁力計により、地磁気異常観測の精度を上げる事が可能となり、次年度以降得られるデータを用い、より詳細な統合的データ解析を実施する。また、得られたデータをデータベース化し、インド洋域の固体地球物理データ等の情報共有を促進する。
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