研究課題
西之島は2013年11月に活動を再開した小笠原弧の火山島で、太平洋プレートの沈み込みによる島弧火山活動・大陸地殻の形成過程を理解する上で貴重なフィールドである。本研究では、西之島とその周辺の海底下の電気伝導度構造を求めることによって、西之島火山の内部構造を調べるとともに、磁場・電場・傾斜の時間変動から、西之島火山の活動の実体に迫る。そのために、我々は海底に海底電位磁力計(OBEM)を設置し、データを取得してきた。2019年6月の気象庁「啓風丸」航海で、昨年度に設置したOBEM4台を回収した。一方で、ポタシウム磁力計を搭載したドローンを利用して、西之島上空の全磁力をマッピングした。得られる全磁力分布は、西之島を形成する浅部の岩石の磁化構造を反映すると考えられる。磁化構造を求めることで、構成岩石の分布や温度分布を求めることができると期待できる。得られたOBEMやポタシウム磁力計のデータは、現在解析中である。2016年の観測データから得られた磁場と傾斜の変動については、論文を執筆中である。2020年1月には西之島電磁気観測第2回報告会を開催し、今年度実施した観測および来年度の計画について情報交換と議論を行った。
3: やや遅れている
2019年8月5日から予定していたOBEMの回収航海が台風8号、9号、および10号の発生により実施できなかった。そのため、2019年度中に全てのOBEMの回収を予定していたが、2020年度に繰越になった。
2019年8月の回収航海が実施できなかったため、一部の観測機器が未回収である。来年度は、回収可能な航海の機会を模索するとともに、西之島の暫定の三次元電気伝導度構造を推定する。暫定構造を求めておくことで、全てのデータが揃った後に、より速やかに三次元電気伝導度構造を求めることができると考えられる。一方、ドローンで取得した西之島上空の全磁力データの解析を行い、西之島浅部の磁化構造などを推定する。
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http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/kbaba/research/nishinoshima.html