研究課題/領域番号 |
18H01320
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (30420491)
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研究分担者 |
石川 晃 東京工業大学, 理学院, 准教授 (20524507)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マントル鉱物 / 無水鉱物 / SIMS / 含水量 |
研究実績の概要 |
地球のマントルが化学的に不均質である最大の要因は、地球内部を巡る水である。固体地球における水を含む揮発性成分の循環はマントルの状態や対流に大きな影響を与え、その理解は地球のダイナミクスと進化の解明に必要不可欠である。これまで研究代表者を含め、マントルを反映するマグマ(深海底玄武岩ガラスやメルト包有物)の揮発性成分に着目して、マントル内の水分布や振る舞いについて研究されてきたが、融解過程で本来不均質であった起源マントル組成は平均化され、全容解明するために必要なデータは十分に揃っていない。本研究では高感度、高空間分解能の二次イオン質量分析計(SIMS: IMS-1280HR)を用い、マントル鉱物に含まれる極微量の水、フッ素、塩素、硫黄の揮発性成分量分析法を開発し、世界に先駆けてマントル物質そのものから揮発性成分のデータを系統的に揃え、解析し地球内部水循環解明に向けた研究を推し進める。本研究の応用範囲は非常に広く、マントル鉱物の揮発性成分に関する研究は大きく前進する。 平成30年度は多くの無水鉱物マントル鉱物であるカンラン石をはじめとした単斜輝石、斜方輝石、ザクロ石、斜長石などの標準試料候補を揃え、均質性のチェックを行った。均質性の確認された試料については購入した精密研磨機(IS-POLISHER)を用いて、FTIR分析の試料準備を行っている。それと並行し、マントルを反映するマグマの揮発性元素に関して、地球内部の揮発性元素の振る舞い、分布に関して更なる制約を与えるための島弧火山、海洋島火山に含まれるメルト包有物を分析し、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は主に標準試料の候補の選定をした。SIMSによる濃度測定には値が既知で均質な標準試料が必要不可欠である。標準試料の候補となる鉱物は、研究分担者や共同研究者が保有する天然かんらん岩に含まれる主要元素において均質なカンラン石、輝石、ガーネット、斜長石などから選定した。各鉱物、最低5試料ずつ集め、水、フッ素などの揮発性元素の均質性をSIMSにより確認した。SIMSによる均質性の確認するのと同時にできる限りバックグランドを下げる分析ルーチンの確立を模索している。現在の最適な条件では、カンラン石の含水量の検出限界は0.2ppm程度でこれまで報告された標準的なもの(1ppm程度)に較べ、圧倒的に改善した。 分析信号強度比(OH/Si)の異なる鉱物を優先的に選定して、含水量をフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により決定するため、平成30年度の本科研費で購入した精密研磨装置(池上精機製IS-POLISHER)を用いて、試料準備をしている。正確な含水量を求めるためには、鉱物を3軸から透過分析をすることが必要なので、鉱物の6面研磨の直方体片を作成している。 鉱物の6面研磨の直方体片を作成するのが困難であって、当初考えていた研究計画よりもやや遅れている。 また、鉱物のフッ素、塩素、硫黄濃度分析に関する準備は進んでおらず、研究計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在準備している鉱物の6面研磨の直方体片がある程度の試料数が準備できたらFTIR分析をして鉱物中の含水量を決める。 本来は各試料3つ以上分析ができると、誤差を含めたより良い精度の含水量が決められるが、研磨中に紛失してしまうこともよくあり、成功率を工夫してあげていくのは今後の課題である。 また、鉱物中のフッ素、塩素、硫黄濃度を決めるために鉱物粉末から加水熱分解法を用いてこれらの元素を抽出し、陰イオンクロマトグラフで分析する。鉱物を粉末化する前にクリアな鉱物試料の選定時、ごく僅かでも変質部分、メルト部分があると全岩分析であるがために、正しい鉱物中のフッ素、塩素、硫黄濃度が得られない。鉱物のハンドピックを注意深く正確に行い、洗浄も入念にして、最低3回の繰り返し分析が必要となることが予想される。従って、まず数個の厳選した鉱物で試す必要がある。 決定した鉱物の水、フッ素、塩素、硫黄濃度と予めSIMSによって得られた信号強度比(OH/Si, F/Si, Cl/Si, S/Si)から各鉱物で検鏡線を引き、検量線の妥当性を評価する。以上の分析手法、結果をまとめ論文化する。 また本研究で開発した分析法をオントンジャワ海台およびハワイ諸島のマントル捕獲岩に含まれる鉱物に応用する。これらのマントル鉱物から系統的にデータを揃え、水に加えて挙動・特徴の異なる、若しくは類似する元素の濃度を組み合わせて多変量解析し、各試料の母岩との反応や脱ガスプロセスなど2次的な影響を取り除き、初生的な情報を読み解く。これらのマントル捕獲岩は岩石学的記載、地球化学データに基づき様々な深度由来で、重元素の同位体的特徴が多様なマントルを覆うように選定するので、揮発性元素と重元素を包括する新たな地球内部物質循環の描像を構築する。
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