研究課題/領域番号 |
18H01321
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
阿部 なつ江 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 主任研究員 (80302933)
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研究分担者 |
片山 郁夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10448235)
岡崎 啓史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究員 (90784257)
吉田 健太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 研究員 (80759910) [辞退]
富士原 敏也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), 主任研究員 (30359129)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 海洋下部地殻 / 岩石物性 / オマーン掘削 / 斑れい岩 / 弾性波速度 / 電気比抵抗 / 透水率 / 「ちきゅう」 |
研究実績の概要 |
主にオマーン陸上掘削試料を中心に、岩石の詳細な記載・常温常圧かでの物性計測、および加圧条件下での物性計測を実施した。具体的には、 (A)岩石記載・物性計測およびデータ解析(計400個程度、担当・阿部、岡﨑、片山):2018年度までにオマーン掘削で得られた岩石試料の「ちきゅう」船上での記載・分析データを解析し、電気比抵抗値から岩石の透水率を見積もることに成功した。成果は国際学術誌に掲載され、国内外の学会において発表した。 (B)加圧弾性波測定(担当・片山および広島大学院生):詳しく記載された岩石試料を200MPaまでの圧力を加えて弾性波速度を測定した結果、海洋下部地殻物質である斑れい岩と、マントル物質である蛇紋岩化かんらん岩では、加水変成作用による弾性波速度の低下率に大きな違いが見られ、海洋プレート内における地殻とマントルの海底変成作用の影響に差があることが明らかになった。成果は国際学術誌に掲載され、国内外の学会において発表した。 (C) 過去の海洋科学掘削において採取した岩石試料の再解析(担当・阿部、冨士原):オマーン陸上掘削試料とともに、岩石物性データを再解析した。その結果、下部地殻物質である斑れい岩において、含まれるかんらん石量が海底変質作用の影響を大きく左右することで、弾性波速度を大きく変化(低下)させることが明らかになった。成果は国内外の学会において発表し、国内学術誌に発表した。 さらに掘削試料の船上物性測定時に、短時間で岩石試料を水に飽和させる方法について、従来の浸透法ではなく含浸法という手法の開発にも成功し、国内学術誌に掲載され、国内外の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オマーン掘削試料の「ちきゅう」船上分析において取得した多量データ解析に加え、加圧条件下での弾性波速度測定および電気比抵抗測定も進めた結果、海洋プレートの地殻-マントル境界付近(つまりモホ面)における変成作用と鉱物モード組成、および岩石物性の相関関係が明らかになった。このことから、モホ面を構成する物質の解明や物性変化がどのように起こるか解析が進んでいる。 今年度は、原著査読論文6件(内、国際誌に4件、国内誌に2件)が掲載され、成果発表も済んでおり、概ね研究計画は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
追加試料の電気比抵抗測定を行うとともに、さらに既存のデータ解析を進める計画である。データ解析は順調に進んでいるが、追加試料の測定データを加えることで、下部地殻-マントル境界付近の変成作用による空隙率や浸透率の変化が、モホ面の構成に与える影響についてさらに解析する予定である。
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