研究課題
本研究では、海底堆積物中の陸上植物由来バイオマーカーを用いた古植生指標を開発・検討する。特に分子組成・同位体比から植生そのものの記録と輸送形態・経路等の記録を分けて評価・復元する方法を検討する。その方法をIODP346次航海において日本海北海道沖で掘削された堆積物コアに応用し、過去約500万年間の古植生・陸域古環境変動を復元する。また、植物テルペノイドと花粉の分析を同一試料で行い、それらの結果を直接比較して、花粉-テルペノイド植生解析データの対応関係モデルを体系的に構築する。これらの研究により、海底堆積物からの実用レベルの植物バイオマーカー古植生解析法の確立、鮮新世~現在の古植生・古環境復元データから北西太平洋(日本海)・極東アジアの北部における長期の陸域気候・環境システムを解明する。2020年度における主な研究成果は次のとおりである。1.日本海掘削コアU1422(北海道留萌沖)の全層準からのバイオマーカー分析を完遂し、アルケノンおよびジオール古水温指標から日本海北部の過去約70万年間の高時間分解能の古水温変動を復元した。その結果、氷期/間氷期変動の他に、融氷期における急激な環境変化パルスを見出した。2.U1422コアの植物テルペノイド分析をほぼ完遂し、過去70万年間の植生変動および陸源物質輸送変動を復元し、同試料の花粉組成データと比較した。スギ花粉の相対量と針葉樹由来ジテルペノイド比の増大スパイクはほぼ同調するが、ジテルペノイド比のみにスパイクが見られる時期もあることがわかった。3.C32ジオール比が海洋への陸水流出指標になりうることを確認し、融氷期において目立つ増大パルスが見られることがわかった。これは北部日本海における融氷水流出パルスを示していると推察した。4.試料移動型オフライン熱分解装置による熱分解分析によって堆積高分子結合態植物テルぺノイドの分析方法を開発した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 8件) 備考 (2件)
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