研究課題
気候変動メカニズムの理解や産業革命以後の人為起源の地球温暖化影響を評価するためには,数年から数十年規模の周期で生じる数百年スケールの気候変動を定量的に指標化することが必要不可欠である.本研究は「地球温暖化に伴い数十年周期の気候変動はどのように変化したか?」「過去の地球温暖期において長周期気候変動は存在したか?存在したのであれば,周期や強度は現在と比較してどのように変化していたか?」を明らかにすることを目的とする.長寿二枚貝ビノスガイ殻の成長線解析と地球化学分析に着目し,北西太平洋・オホーツク海における現在から過去数百年にわたる長周期気候変動の指標化,および完新世気候最適期/更新世の間氷期という2つの過去の地球温暖期における長周期気候変動の変動特性を明らかにする.2020年度は化石試料の成長線解析を行った.その結果,過去の温暖期である千葉県の酸素同位体比ステージ5,7,9に相当する層準から採取されたビノスガイ化石は,岩手県大槌町や北海道紋別から採取された現生のビノスガイと比較して,有意に早く成長し,若い年齢で成長速度が停滞することが明らかとなった.一方で最長寿命に関しては,現生も化石も100歳を超えるものが複数みられたことから,大きくは変わらない可能性が示された.2019年度に得られた酸素同位体比の結果からは,水温変動幅は更新世の間氷期は現在よりも小さいことを示しており,更新世の間氷期はビノスガイの成長にとって,より好適な環境であったことを示唆している.酸素同位体比と成長線解析の結果については現在論文を執筆中である.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Marine Biology
巻: 167 ページ: 1-15
10.1007/s00227-019-3637-7
Estuarine, Coastal and Shelf Science
巻: 235 ページ: 106620~106620
10.1016/j.ecss.2020.106620
巻: 245 ページ: 106977~106977
10.1016/j.ecss.2020.106977