研究課題/領域番号 |
18H01336
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
阪上 隆英 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50192589)
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研究分担者 |
田邉 裕貴 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (00275174)
廣林 茂樹 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (40272950)
塩澤 大輝 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (60379336)
和泉 遊以 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (60610954)
中井 善一 神戸大学, 工学研究科, 名誉教授 (90155656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械材料・材料力学 / 非破壊評価 / 赤外線計測 / テラヘルツ計測 / 熱弾性応力計測 |
研究実績の概要 |
インフラ鋼構造物の供用を停止することなく,効率的,多角的かつ高精度に構造物の劣化事象を検出・評価し,構造物の健全性を保証する非破壊評価法は,国内外を問わず,実用に供するレベルのものは未だ開発されていない.本研究課題では,鋼構造物の2大劣化事象である,「疲労」と「腐食」に対する予知保全に主眼を置き,鋼構造物のライフサイクルを通じての構造健全性トリアージを深化・発展させるために必要な,革新的計測技術ならびに構造健全性評価技術を開発するための基礎検討として,可視・赤外からテラヘルツに至るハイパースペクトル電磁波イメージング計測法により鋼構造物の早期予知保全に資する維持管理スキームを構築することを目標とした. 今年度の研究では,空間,時系列,分光データを同期計測できる計測システム構築を継続して行うとともに,計測データを解析することによる,疲労,腐食に関わる様々な劣化事象の検出・評価を試みた.まず,き裂の断熱効果に基づく温度ギャップ法による疲労き裂検出の高度化を行い,未貫通き裂形状や3次元き裂の形状寸法同定を行った.次に,実働応力分布計測による供用適正評価法の高精度化においては,可視同期ハイパースペクトル計測による高精度位置補正の導入により,熱弾性実働応力分布計測に基づく疲労き裂進展性評価を高精度化するとともに,き裂開閉口条件を考慮した疲労き裂進展特性評価の可能性を検討した.可視・近赤外分光計測による防食塗装の早期劣化検知に関しては,多層構造を有する防食塗装膜の早期劣化検知を高度化するため,アクティブ分光計測システムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間,時系列,分光データを同期計測できる計測システム構築を継続して行うとともに,計測データを解析することによる,疲労,腐食に関わる様々な劣化事象の検出・評価を試みた.適用対象として,当初予定していた,鋼構造の疲労き裂の効率かつ高精度な検出と定量評価,赤外線による熱弾性実働応力場計測に基づく鋼構造の疲労き裂進展評価,近赤外線計測による防食塗装の劣化検出など,順調に成果を収めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,空間,時系列,分光ハイパースペクトルデータの同期計測と解析およびその融合による非破壊評価法の高度化・深化を検討することで,構造物維持管理スキームの構築を完成させる予定である.具体的な項目を以下に示す. ハイパースペクトル電磁波計測システムの高度化・深化としては,計測波長帯域の異なる複数の計測データに対し,逆問題解析,波形位相解析,主成分解析および非調和解析などのデータ処理手法を適用することで,計測システムの高度化・深化を図り,疲労,腐食に関係する各種劣化因子の早期検知を行う.き裂の断熱性に基づく温度ギャップ法による疲労き裂検出の高度化としては,非貫通三次元き裂の定量計測の更なる高精度化を実現させるとともに,各種鋼構造物への適用を試みる.赤外線による熱弾性応力分布計測に基づく供用適正評価法の高精度化としては,実働応力分布計測に基づく疲労き裂進展性評価の高精度化を推進し,き裂開閉口条件を考慮した疲労き裂進展特性のその場評価法を構築する.可視・近赤外分光計測による防食塗装の早期劣化検知では,アクティブ分光計測シ ステムを開発し,多層構造を有する防食塗装膜の定量計測を高精度化する.テラヘルツ時間領域分光法による劣化検知では,テラヘルツ波伝搬に関する計測データの解析に深層機械学習を導入することで,材料劣化の早期検知を実現させる.
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