研究課題/領域番号 |
18H01337
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
多田 直哉 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (70243053)
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研究分担者 |
上森 武 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70335701)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 弾性不均一変形 / 塑性不均一変形 / 表面高度分布 / 多結晶金属材料 / 表面あれ |
研究実績の概要 |
本研究の初年度にあたる平成30年度は,通常の大きさの結晶粒で構成される純チタンの平板試験片を用いて繰返し引張試験を実施し,荷重の増減とともに変化する結晶粒中心部の高度を測定した.測定には現有のデジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を用い,そのステージ上に小型の引張試験機を設置して試験を実施した.また,試験片測定領域内の結晶粒形状ならびに方位は,走査型電子顕微鏡およびそれに付随するEBSD装置を用いて測定した.得られた結果より,除荷を伴う繰返し引張においても,各結晶粒の弾性変形状態における高度変化と塑性変形状態における高度変化が強い相関を持つことを明らかにするとともに,その強い相関性を有するいくつかの原因について検討した.また,互いに影響を及ぼし合う結晶粒の変形について詳細に検討するため,すべり線の方向分布についても検討した.その結果,表面結晶粒のすべりは,近いすべり方向を示す複数の結晶粒が互いに影響を及ぼし合いながら進行することが明らかとなった. 次に,結晶塑性有限要素解析に関しては,まず,二次元の多結晶体モデルを作成し,それに引張負荷を加えた場合について解析を行った.その結果,内部に存在する結晶粒の変形は,表面に存在する結晶粒の変形に大きな影響を与えること,巨視的変位が小さいときの結晶粒表面の高度分布と変位が大きいときの高度分布は相関性を有すること,等を明らかにした.二次元解析ではあるが,本解析結果は,実験より得られた各結晶粒の弾性高度変化と後続の塑性高度変化の相関が妥当であることを裏付けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひずみ測定に必要なソフトウェアの導入に時間がかかった関係で,初年度の計画の一部を変更したが,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
第2年度にあたる本年度は,通常の結晶粒を有する純チタンおよび粗大化させた同材および内部結晶粒の影響を排除できる薄膜試験片を用い,結晶粒の高度分布とひずみの測定を実施し,それらの関係について検討する.また,結晶塑性解析に関しては,三次元多結晶体モデルの作成を開始し,モデルが完成後に変形解析を実施する.
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