研究課題
近年の産業技術の発達に伴い,「熱膨張」は極めて重要な現象となっている.熱膨張制御の一つの手法として,温めると弾性的に縮む「負熱膨張材料」が注目を集めている.一部の特殊な化合物は相転移等の現象に伴い,負の熱膨張を示し,その探索が盛んに行われてきた.しかし,負熱膨張の大きさや発生する温度帯は化合物自体の本質的な特性に依存する部分が多く,それを意図的に設計することは未だ困難である.負熱膨張材料の実現法の一つとして,熱膨張率の異なる複数の材料と空孔を適切にレイアウトした複合材料により,巨視的な負熱膨張を生み出す手法がある.この手法には自在に剛性や負熱膨張度合いを設計可能という利点がある.しかし,既存の研究では樹脂が中心であり,剛性や有効温度帯に難があり,熱的に物性が安定な金属で効果的に構造を実現する製法は未だ確率されていない.当初の計画では積層造形でチタン(Ti)の下地を作成し,それに溶融時に濡れ性の高いマグネシウム(Mg)を毛管現象により部分的に結合させる多段階プロセスを考えていた.しかし,Ti及びMgは極めて反応性が強く,試作実験を試みる過程でいずれも申請者の研究環境で扱うには安全性に問題があると判断し,代替となる金属を検討した.組み合わせる二種類の金属は,線膨張係数(CTE)に大きな差があることが望ましい.その結果,錫と亜鉛を選定した.また,この組み合わせは互いの濡れ性が低いということもなく,複合材料を形成するのに問題はない.積層造形では,直接対象を造形する他に,造形したい対象と同型の空孔を含む型を造形し,鋳造に用いるという手法も良く用いられている.そこで本研究では積層造形で二種類の型を造形し,二段階の鋳造により錫と亜鉛で構成される負熱膨張複合材料を形成した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering
巻: 370 ページ: 113231~113231
10.1016/j.cma.2020.113231