研究課題/領域番号 |
18H01356
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西脇 眞二 京都大学, 工学研究科, 教授 (10346041)
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研究分担者 |
山田 崇恭 京都大学, 工学研究科, 助教 (30598222)
泉井 一浩 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90314228)
山本 崇史 工学院大学, 工学部, 准教授 (30613640)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 音響メタマテリアル / トポロジー最適化 / 構造創成 / 均質化法 / CAE |
研究実績の概要 |
本研究では,音響・構造振動の連成関係を統一的に表現できるモデルである二相材料モデルを構築し,その解析により厳密に場の状態を求めながら,その二相材料モデルによる状態解析のもと,ミクロレベルの共振現象のマクロレベルへの影響を高周波均質化法にて評価することにより,複数の共振モードを適切に利用して特異な振動特性を示す材料構造,すなわちメタマテリアルの構造を創成設計する方法論を,トポロジー最適化に基づき構築する.この方法論が確立されれば,一般的には自然界に存在しない双極型の分散特性をもつ音響メタマテリアル構造や,複数の振動モードを利用した,より複雑で特異な分散特性をもつ音響メタマテリアルの構造を創成することが可能になる.さらに,それらの音響メタマテリアルを適切に配置することにより,高機能な音響ハイパーレンズ,音響クローキングデバイス,音響導波路などの革新的なデバイスを開発することができる. 本年度は,まずミクロ構造の大域的な物理特性を評価可能な高周波均質化法の開発を行い,それに基づきミクロ構造のトポロジー最適化を行った.従来の均質化法では,ミクロ構造の大きさが波長に対して十分小さくない場合,その適用はできず,音響メタマテリアルの設計には利用できなかった.この問題を解決するため,まず周波数に対しても漸近展開を行う新しい均質化法である,高周波均質化法の実装を行った.さらに,高周波均質化法にもとづくトポロジー最適化の方法を定式化するととともに,その実装を行った.次に,その方法により,双曲型,放物型の音響メタマテリアルの構造設計を行った.そして,その構造設計案の妥当性を数値計算により確認し,創成された構造設計案が,所望の双曲型,放物型の音響メタマテリアルの特性をもつことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,ミクロ構造における動的な現象を厳密に評価可能な新しいマルチスケール法である高周波均質化法を実装でき,さらに,その方法に基づきトポロジー最適化の方法を定式化するとともに,その実装を行った.さらに,その方法により,双曲型,放物型の音響メタマテリアルの構造設計を行うとともに,その構造設計案の妥当性を数値計算により確認し,創成された構造設計案が,所望の双曲型,放物型の音響メタマテリアルのもつことを確認でき,予定通りに進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,昨年度に引き続き,多孔質材料を伝搬する波を表現するモデルであるBiotモデルを一般化し,ミクロ構造内において,設計変数値により支配方程式を自動的に変更しながら境界における連成関係を表現できる二相材料モデルを構築するとともに,トポロジー最適化に必要な二相材料モデル上におけるトポロジー導関数の導出を行い,実装を進める.さらに,二相材料モデルで表現された音響・構造連成場において,状態場に加え固有振動数の漸近展開をも導入し,共振状態におけるミクロ構造の特性を厳密に評価できる新しい高周波均質化法の構築を引き続きすすめる.そして,ミクロ構造のもつ複数の振動モードに対して,それぞれ特定の分散特性をもつようにし,幅広い周波数領域で,振動特性を制御できる音響メタマテリアルを設計できる最適化問題を多目的最適設計の考え方に基づき,定式化し,実装を進める.
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