今後の研究の推進方策 |
昨年度は,計測のキーとなるノコギリ波状輝度分布を持つ干渉縞発生の詳細を詰めるため,観察対象面と参照板のすきまの影響と,これまでに調べた金属以外の新たな観察対象物の影響を調べた.その結果,観察対象面にはある程度の反射率を有していればそれ以外は特に制限がないことが明らかになった.また,干渉縞画像から3次元高さデータに変換するソフトウェアもプロトタイプを開発することができた.そこで,本年度は次の点について研究を継続することにする. ①高変換効率ソフトウェアの開発(続き):レーザ干渉縞からの位相像の抽出や形状への変換などのため,画像を取り扱うソフトウェアは,可読性の高いDelphi言語で開発してきた.これまで開発したソフトウェアの内容は,画像の2値化,縞の細線化,縞間の内挿関数の決定などであった.昨年度は,これに加えて,ノコギリ波状干渉縞の輝度分布からダイレクトに表面高さに効率よく高精度に変換できるソフトウェアを新規に開発した.しかし,高さへの変換効率が悪い部分もみられる.そこで,引き続きその点を改善する方法を考案し,プログラムに実装することとする. ②ECRスパッタ装置による参照板への成膜とその再現性の確認(続き):これまで,成膜材料としてAu, Cu, Ni, Fe, Cr, Tiなどの純金属を用いてきたが,その膜厚の再現性を詳細に調べる時間的余裕がなかった.昨年度は,Feに特化して種々膜厚を変化させ,成膜の再現性を調べた.膜厚が極端に薄い場合のノコギリ波状輝度分布は理論解析と異なる場合が想定されたので,そのことを綿密に調べた.原子間力顕微鏡(AFM)による膜厚計測や,分光光度計による反射・透過率から膜厚のモニタリングを行ったが,まだ十分に膜厚測定ができていないので,他の膜厚測定方法を試すことにする.
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