研究課題/領域番号 |
18H01369
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 康彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20162274)
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研究分担者 |
伊藤 靖仁 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40346078)
角田 博之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10207433)
久保 貴 名城大学, 理工学部, 教授 (20372534)
鈴木 博貴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (10626873)
岩野 耕治 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20750285)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乱流・非乱流界面 / 反応流 / PDF法 / LES / DNS |
研究実績の概要 |
本研究は,乱流/非乱流界面近傍における高ペクレ数乱流物質拡散・混合場の特性と化学反応機構を実験と数値シミュレーションにより解明し,その結果に基づき,乱流/非乱流の界面を含む間欠的複雑乱流場に対応できる簡易で汎用性のあるPDF法用の物質分子混合モデルを発展させることを目的とする.具体的には,以下に示されるように実験(研究目的(A))と数値シミュレーション(研究目的(B))に関して集中的に研究を進める. ◯研究目的(A):広いダイナミックレンジを有する高分解能ラグランジュ的速度・濃度計測システムの開発と乱流/非乱流界面拡散場におけるラグランジュ的統計量特性の実験的解明 ◯研究目的(B):確率微分方程式やLES法を利用した乱流/非乱流界面拡散・反応場のラグランジュ的PDF数値シミュレーションおよびDNSによる物質分子混合モデルの検証. 本年度は特に研究目的(A)に力を注いだ.詳細は以下の通りである. 液相中での乱流/非乱流界面を含む高シュミット数物質拡散場のラグランジュ的統計量を明らかにするための速度・濃度同時計測システムの構築に着手した.まず2次元PIV・LIF同時計測システムを構築し,無反応蛍光物質を使用して,格子乱流で2次元平面内での速度2成分・濃度同時計測を試みた.その結果,非線形スケール間輸送は,エネルギ,スカラともにテイラーマイクロスケール程度で活発となることが明らかとなった.一方,反応濃度場については,吸光ファイバプローブにより,2次元乱流噴流,及び2次元壁面乱流噴流について,2次の化学反応場(A+B→R:物質Aを物質Bを含む主流中に放出して反応場を作成する)における各物質濃度の瞬時同時測定を行い,条件付濃度場解析などを行った.その結果,乱流/非乱流界面近傍の濃度場に及ぼす壁面の影響は小さいことが明らかとなった.なお,研究目的(B)に関しても文献調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究を遂行し,乱流/非乱流界面を含む高ペクレ数乱流物質拡散・混合場に関する統計量に関する知見が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(A):昨年度は2次元PIVと2次元LIF法を組み合わせた2次元空間速度(2成分)・濃度同時計測システムを構築し,乱流格子近傍流れにおける乱流・非乱流界面で拡散する高シュミット数蛍光物質の速度場・濃度場の計測を行った.そこで今年度は得られた瞬時の速度場および濃度場のデータからラグランジュ的速度場・濃度場の同時統計量を算出するアルゴリズムを開発する.また,動力学モード分析法(DMD 法)や大偏差原理に基づく揺らぎスペクトル解析等により,乱流/非乱流界面での物質拡散場の時空間統計量の性質を明らかにし,ラグランジュ的速度場・濃度場の同時統計量との関係を考察する.さらに,これらの解析方法に基づき,昨年度行った従来方式の光ファイバ型吸光スペクトル法による二次の化学反応を伴う液相二次元反応噴流の実験により得られた乱流/非乱流界面近傍での反応場のデータの解析をすすめる. 研究目的(B):実験と並行して,二次元噴流,旋回を伴う2重円管噴流,格子近傍流れなど乱流/非乱流界面を有する各種乱流拡散場に対して,分子混合モデルを導入し,確率微分方程式やLES を利用したラグランジュ的確率密度関数法(PDF法)による計算手法を開発する.このとき,実験結果と比較することにより現存する分子混合モデルの有効性を調べ,必要に応じて,分子混合モデルの改良あるいは新規構築を試みる.一方,シュミット数を1よりも大きくした二次元噴流,旋回を伴う2重円管噴流,格子近傍流れ,一様等方性乱流の物質拡散場・反応場の直接数値計算を実施し,分子混合モデルの検証を行う.
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