研究課題/領域番号 |
18H01370
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 源太 大阪大学, 基礎工学研究科, 理事 (50214672)
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研究分担者 |
清水 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20550304)
本木 慎吾 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70824134)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 亜臨界乱流遷移 / ホモトピー |
研究実績の概要 |
平面ポアズイユ流および平面クエット流の亜臨界乱流遷移に対して超臨界ホモトピー等による力学系アプローチを試みた. 平面ポアズイユ流の乱流遷移では,乱流縞と呼ばれる流れ方向から傾いた方向に伸びる空間局在乱れが現れる.当研究室ではこの乱流縞の起源を与える周期解を空間局在する減衰力を付加したナビエ・ストークス方程式の解として数値的に求めた.この解は減衰力を含む方程式の解ではあるが,減衰力が作用しない本来の平面ポアズイユ流に対する解ではない.そこで,本来のナビエ・ストークス方程式の解へ移行させるホモトピー経路を数値的に追及している.また,矩形ダクト流の乱流遷移と平面ポアズイユ流とのホモトピーについても実験と数値シミュレーションによる検討を加えた.矩形ダクト流の乱流遷移では,アスペクト比(ダクト断面の辺長比)が1に近い場合には流れ方向にのみ空間局在する乱流パフが現れるが,アスペクト比が増加すると乱流パフのダクト中間面に関する対称性が崩れ,非対称性を有するパフが現れることが判明した.さらにアスペクト比を増加させると,流れ方向からの傾きを有するダクト固有の局在乱流が下流方向に蛇行する状態が現れることが明らかとなった.さらにアスペクト比を増加させると,この蛇行乱流が複雑化し,平面ポアズイユ流におけるいわゆる乱流縞に移行することを突き止めた.以上の発見は,矩形ダクト流に現れる平衡状態としての蛇行乱流と平面ポアズイユ流における乱流縞とがホモトピーによって接続し得ることを示唆している. 平面クエット流に対しては,乱流遷移の初期に現れる有限寿命を有する過渡的乱流の発生について理論的,数値的考察を進めた.過渡的乱流は力学系理論においてはカオスサドルと見なせることに着目し,カオスサドルの発生をエッジ状態に関するホモクリニック軌道の生成,すなわちホモクリニックタンジェンシーとして捉えることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面ポアズイユ流における乱流縞の起源を与える周期解のナビエ・ストークス方程式の解へのホモトピーに関する研究に進捗が見られ,また平面ポアズイユ流における乱流縞と矩形ダクト流における平衡状態としての蛇行乱流との間のホモトピーの可能性が示唆されたため. さらには平面クエット流における過渡乱流の発生を理論的に記述するホモクリニック軌道の生成,すなわちホモクリニックタンジェンシーを見出したため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き,平面ポアズイユ流の乱流縞の起源を与える周期解のナビエ・ストークス方程式の解へのホモトピーの追及を進めると同時に,平面ポアズイユ流の乱流縞と矩形ダクト流の蛇行乱流とのホモトピーを試みる. さらには平面クエット流におけるホモクリニック軌道によるアプローチを円管流の乱流遷移の問題に拡張することを試みる.
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