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2019 年度 実績報告書

熱音響自励振動における非線形現象の解明―振動の促進と抑制を目指して―

研究課題

研究課題/領域番号 18H01375
研究機関関西大学

研究代表者

杉本 信正  関西大学, システム理工学部, 教授 (20116049)

研究分担者 清水 大  福井工業大学, 工学部, 教授 (40448048)
板野 智昭  関西大学, システム理工学部, 教授 (30335187)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード熱音響 / 熱流の不安定化 / 臨界条件 / 自励振動 / 振動発電 / エネルギーハーベスティング
研究実績の概要

熱音響自励振動によるエネルギー・ハーベスティングの実験を直管とループ管路を用いて継続した.昨年度は適切なリニア発電機が入手できなかっため,リニアモータを逆に駆動させ
振動発電を試みた.電圧は20V近く発生するものの出力は1W程度であった.そこで今回リニア発電機をリース契約で入手した.しかし,発電機の可動部の質量が大きいために,自励振動の振動数に近い共振系を構築するには強いばねが必要になり,またばねの減衰も大きくなり共振系のQ値が低い値に留まった.発電機は最適ではないものの,大気圧の空気を用いた直管では出力は2,3W程度,ループ管路では5W程度の電力を得た.気圧を高くすると出力は比例して大きくなると期待される.
エネルギーを取り出すもう一つの方法としてウエルズ・タービンを用いた発電を試みた.タービン翼をアクリルで製作したため,高温の気体が触れると変形する恐れから,上記のリニア発電機をリニアモータとして使用しベローズをを介して直管内に気柱振動を発生させ,発電機が回転することを確認した.熱音響自励振動を用いる実験は行っていない.
2つのエネルギー・ハーベスティングの方法を試した結果,リニア発電機による方法は自励振動の振動数に共振系の振動数をマッチングさせることが微妙で難しいことが判明した.これに対し,タービンによる発電ではこの制約はないため,有利であることが分かった.
上記のエネルギー利用とは別に,自励振動が発生する臨界条件を昨年度に発表した理論結果と比較検討したところ,臨界温度比や不安定化の増幅率が理論と一致しないことが明らかになった.この結果はドイツで開催された国際音響学会議(ICA)で発表した.不一致の原因の一つが使用した高圧用センサーの感度による可能性が考えられるので,微小圧力測定用のマイクロフォンを購入し,臨界温度比と増幅率を計測する実験を再度実施した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

熱音響自励振動を利用してリニア発電機による発電と,ウエルズタービンにより発電機を回転させ発電を行う2つの方法を試み,共に発電できることを確認した.大気を用いた管路内の振動では,出力は現時点では小さいけれども,封入する気体の圧力を高くすることにより振動振幅を大きくすることができる.その際高圧化による技術的な問題が発生するが克服は可能である.

今後の研究の推進方策

リニア発電機を用いた場合の振動系の応答について解析を行い,最適なリニア発電機と共振系の設計方針を明らかにする.
ウエルズタービンを用いた発電では,早急に実際の熱音響自励振動を用いた実験を行う.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Experiments on self-excited thermoacoustic oscillations in an air-filled closed tube2019

    • 著者名/発表者名
      Nobumasa Sugimoto,Keisuke Minamigawa
    • 雑誌名

      Proceedings of the 23rd International Congress on Acoustics

      巻: 1 ページ: 5619-5626

    • DOI

      10.18154/RWTH-CONV-238934

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Experiments on self-excited thermoacoustic oscillations in an air-filled closed tube2019

    • 著者名/発表者名
      Nobumasa Sugimoto, Keisuke Minamigawa
    • 学会等名
      The 23rd International Congress on Acoustics
    • 国際学会
  • [学会発表] 直管内の熱音響自励振動の実験2019

    • 著者名/発表者名
      杉本信正,南川佳祐
    • 学会等名
      非線形音響研究会
  • [学会発表] 熱音響システムにおける非線形現象―衝撃波の発生と抑制2019

    • 著者名/発表者名
      清水 大,杉本信正
    • 学会等名
      日本音響学会2019年秋季研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] 共鳴器の局所接続による定在波型熱音響自励振動の増幅2019

    • 著者名/発表者名
      清水 大,杉本信正
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2019
  • [学会発表] 温度勾配のある細管内の熱音響現象の線形および非線形理論2019

    • 著者名/発表者名
      杉本信正,清水 大
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所共同研究集会 「非線形波動現象の数理とその応用」
  • [図書] Applied Wave Mathematics II2019

    • 著者名/発表者名
      Nobumasa Sugimoto, Dai Shimizu
    • 総ページ数
      187-204
    • 出版者
      Springer-Nature
    • ISBN
      978-3-030-29951-4

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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