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2020 年度 実績報告書

分子間エネルギー輸送機構に基づく,相変化を伴う複雑な流体-固体界面熱輸送の設計

研究課題

研究課題/領域番号 18H01382
研究機関大阪大学

研究代表者

芝原 正彦  大阪大学, 工学研究科, 教授 (40294045)

研究分担者 植木 祥高  大阪大学, 工学研究科, 助教 (50731957)
藤原 邦夫  大阪大学, 工学研究科, 助教 (60800852)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード界面 / エネルギー輸送 / 分子動力学 / 相変化
研究実績の概要

本研究では,次項1,2を研究目的として研究を実施した.
1.分子間エネルギー輸送機構に基づき熱流を直接可視化することで,相変化を伴う複雑な流体-固体界面における熱輸送現象を高時空間分解して解明する.2.得られた知見に基づき,表面構造や界面材質までを含んだ最適な流体-固体界面を原理的に設計するための方法論を確立する.
前述の目的を達成するために,2020年度は実験と数値シミュレーションを並行して実施したので,以下に概略を示す.
(実験)界面微細構造が流体-固体界面における巨視的な熱輸送特性へ与える影響の評価: まず,水蒸気の凝縮過程への界面微細構造特性の影響について,昨年度作成した実験装置系を用いて,接触角と熱伝達率を測定した.具体的には,構造間隔と接触角の関係は修正Wenzelの式とほぼ一致することが確認できた.次に,ナノ構造の間隔をパラメータとして巨視的な熱伝達率計測を行った.また,凝縮過程を可視化できるための窓を設置し,ナノ構造間隔や濡れ性と凝縮過程の関係を確認した.
(数値シミュレーション)界面微細構造が分子間エネルギー輸送機構ならびに流体-固体界面熱輸送に及ぼす影響の評価:数値シミュレーションでは,凝縮実験の条件に対応した水分子を用いた凝縮現象をシミュレート可能な大規模計算モデルを用いた.界面構造には,実験と対応する矩形構造を用いるとし,その濡れ性を計算パラメータとした.次に,非平衡分子動力学シミュレーションを行って,非定常状態の凝縮時の界面熱抵抗を計測し,矩形構造の濡れ性が矩形構造を含む伝熱面の局所界面熱抵抗の時間変化に対してどのような影響を及ぼすかについて明らかにした.また,それらの結果の一部を学術論文として公表した.また,固液界面熱抵抗や凝固現象に関する同様のシミュレーションを行い,その一部を研究成果として学術論文や学会などで公表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,分子間エネルギー輸送機構に基づき熱流を直接可視化することで,相変化を伴う複雑な流体-固体界面における熱輸送現象を高時空間分解して解明することを研究目的としているが,2020年度において,構築した実験系において,微細構造間隔と接触角が先行研究と一致していることや,水分子モデルを用いた分子動力学シミュレーション系の平均界面熱抵抗の計算値が先行研究と一致している.また,結果の一部を学術論文として公表しており,おおむね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

これまでに構築した実験系や水分子モデルを用いた分子動力学シミュレーション系を用いて,凝縮や凝固時における微細構造が局所的な界面熱輸送に与える影響を,実験ならびに分子動力学シミュレーションを用いて明らかにしていく.そのために,実験とシミュレーションについて以下の研究計画を考えている.
実験では,界面微細構造特性(構造間隔,濡れ性)をパラメータとして,水の凝縮時の巨視的な熱伝達率計測を行い,界面微細構造特性と熱伝達率の関係を明らかにする.
シミュレーションでは,実験条件に可能な限り対応した凝縮・凝固現象を,非平衡分子動力学シミュレーションを行うことにより,非定常状態の凝縮・凝固時の局所的な界面熱流束ならびに界面熱抵抗を計測すると同時に十分な時空間平均を行った界面熱抵抗値を求める.
以上のことより,シミュレーションによって得られた時空間平均化された界面熱抵抗値を実験結果の傾向と比較して,界面特性の伝熱特性への影響の妥当性を検証し,その後,シミュレーション結果を用いて凝縮・凝固時における界面微細構造特性が時空間分解された局所界面熱輸送に及ぼす影響について考察し,微細構造のどの部分がどのような効果により凝縮・凝固時の界面熱輸送に影響を与えているかを明らかにする.さらにシミュレーションでは沸騰現象に対する微細構造の影響の知見を得ることついても検討する.これらの結果について,実験,シミュレーションのそれぞれについて論文等にまとめて公表を行うことを予定している.以上のことより,シミュレーションによって得られた時空間平均化された界面熱抵抗値を実験結果の傾向と比較して結果の妥当性を検証し,その後,シミュレーション結果を用いて界面微細構造特性が時空間分解された相変化時の界面熱抵抗に及ぼす影響について明らかにする.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Molecular dynamics simulation on effects of nanostructure on interfacial thermal resistance during condensation2020

    • 著者名/発表者名
      Fujii Akito、Fujiwara Kunio、Ueki Yoshitaka、Shibahara Masahiko
    • 雑誌名

      Journal of Thermal Science and Technology

      巻: 15 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1299/jtst.2020jtst0010

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Molecular Dynamics Study of Interactions between the Water/ice Interface and a Nanoparticle in the Vicinity of a Solid Surface2020

    • 著者名/発表者名
      Uchida Shota、Fujiwara Kunio、Shibahara Masahiko
    • 雑誌名

      Nanoscale and Microscale Thermophysical Engineering

      巻: 24 ページ: 53~65

    • DOI

      10.1080/15567265.2020.1765912

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Experimental study of influence of nanoparticles adhesion and sedimentation layer on solid-liquid interfacial thermal resistance2020

    • 著者名/発表者名
      Ueki Yoshitaka、Oyabu Tomoya、Shibahara Masahiko
    • 雑誌名

      International Communications in Heat and Mass Transfer

      巻: 117 ページ: 104807~104807

    • DOI

      10.1016/j.icheatmasstransfer.2020.104807

    • 査読あり
  • [学会発表] 凝縮時のエネルギー輸送におけるナノ構造の影響に関する分子動力学的研究2020

    • 著者名/発表者名
      藤井彰人,藤原邦夫,植木祥高,芝原正彦
    • 学会等名
      第57回日本伝熱シンポジウム
  • [学会発表] ナノ粒子懸濁液のエネルギー輸送機構に関する分子動力学的研究2020

    • 著者名/発表者名
      山本幸宏,藤原邦夫,植木祥高,小原拓,芝原正彦
    • 学会等名
      第57回日本伝熱シンポジウム
  • [学会発表] 様々な濡れ性の固体表面における水滴の冷却および結晶化についての分子動力学的研究2020

    • 著者名/発表者名
      堤祐太,植木祥高,藤原邦夫,松本亮介,芝原正彦
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2020
  • [学会発表] Molecular dynamics study on particle pushing and engulfment by a solidification front2020

    • 著者名/発表者名
      K. Fujiwara, T. Miyamoto, S. Uchida, and M. Shibahara
    • 学会等名
      Proceedings of The 31th International Symposium on Transport Phenomena (ISTP31), Hawaii, USA, October 2020.

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公開日: 2021-12-27  

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