研究課題
圧電薄膜マイクロアクチュエータは,位置決め精度とその安定性,および信頼性に課題を有する。その主たる理由は,高電界で大きく駆動させる状況で,既存の多結晶圧電薄膜に特性変化が生じることにあると考えられる。本研究の目的はその解決法を示すことにあり,以下の2つの方向性で研究を実施した。高精度・高安定の歪計測が可能であれば,制御によって上述の課題を解決できるため,本研究では,PZT系圧電薄膜とのコンパチビリティを考え,PZT圧電MEMSに初めてシリコン埋め込みピエゾ抵抗センサを適用した。まず,埋め込みピエゾ抵抗付きPZT圧電MEMSの作製プロセスを開発し,カンチレバー型のMEMSアクチュエータを試作した。そして,その評価を行い,スケールファクタやノイズレベルを実測し,シミュレーション結果と比較した。これらの成果について学術論文を出版した。また,このアクチュエータをフィードバック制御するため,FPGAを用いた制御システムを構築し,その動作を確認した。さらに,実証した埋め込みピエゾ抵抗付きPZT圧電MEMSの作製プロセスを用いて,新たにマイクロミラーデバイスを作製した。単結晶PZT系薄膜については,バッファ層の選択によって信頼性を決める電流リークを大幅に減らせることを実証したが,一連の測定データを揃え,学術論文を出版した。また,ナノインデンテーション試験を行い,エピタキシャル膜とエピタキシャル・多結晶中間膜のクラックの生じやすさについて評価を行ったが,これについて論文執筆を行っている。さらに,圧電薄膜のさらなる高性能を実現するため,SmドープPMN-PTのシリコン基板上へのエピタキシャル成長を行った。バッファ層と成膜方法の探索によってクラックやリークが生じない条件を見出し,e31,f = 20 C/m2の高い圧電性能を確認した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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