研究課題/領域番号 |
18H01408
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山田 篤史 滋賀医科大学, 医学部, 特任准教授 (40534334)
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研究分担者 |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10359771)
谷 徹 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (20179823)
望山 洋 筑波大学, システム情報系, 教授 (40303333)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40324587)
森川 茂廣 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 客員教授 (60220042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 弾性ループ機構 / マイクロ波治療機器 / 操舵機構 / Active Sheath機構 / フレキシブルメカニズム / 医療機器 |
研究実績の概要 |
本年度は,マイクロ波エネルギによる焼灼能力と弾性機構を組み合わせた新規デバイスの基礎となる,弾性ループ機構の弾性マッピングシミュレーションをおこなった.また,マイクロ波焼灼シミュレーションを実施し,提案構造の最適化を目指した.マイクロ波については,焼灼実験および進行波・反射波の測定系の確立をおこなった.
本研究で提案した弾性ループ機構は,研究代表者が中心になって開発したActive Sheath機構を拡張したものである.Active Sheath機構は,ループ状の弾性体を中空の弾性体に挿入して構成される.ループ状の弾性体の根元側端点のどちらかを押し引きすることで,中空の弾性体を内側から屈曲することができる.わずか2つの要素から構成されているため,シンプルな構造である.また,ループ状の弾性体は,いつでも抜き差し可能である.これらの特性が,カテーテルに対するガイドワイヤや,スタイレットに対するカニューレといった,低侵襲医療機器では一般的な内筒-外筒構造と親和性が高い.これまでに,Active Sheath機構を採用した操舵型の針やマイクロカテーテル,それらを組み合わせたカテーテルニードルなどのアプリケーションを試作し,その特性を明らかにしてきた.
本研究では,中空の弾性体に内包していた弾性ループ機構を先端から突出させるとともに,根元側端点それぞれを押し引きするだけでなく,ループの長軸まわりのトルクも入力とすることで,スネアに代表されるループ型医療機器の形状操作特性を飛躍的に向上させることに成功した.本研究の核となる提案機構は,日本コンピュータ外科学会2018年度講演論文賞(2019)を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画はやや遅れている.本研究は,弾性機構とマイクロ波エネルギ機構を組み合わせた新たな機構を開発し,評価することを目的としている.そのため,年度ごとに,弾性機構とマイクロ波シミュレーションを両翼とした研究計画を立てた.今年度は,弾性機構については,ループ構造の弾性マッピングによる形状変形機構の開発およびファントム実験を実施した.設計論の構築については,離散化Kirchhoff弾性ロッドモデルを用いたモデル化,モデルの仮想関節ばねの弾性係数の同定および数値シミュレーションの実施をおこなった.マイクロ波焼灼のシミュレーションについても,最適化をおこなうために順調に進めている.マイクロ波の加熱特性についても,基礎実験をおこない,新しい知見を得ることができた.また,マイクロ波の焼灼効率を計測するために,試作発振器を用いた進行波と反射波の測定系を構築した.弾性ループ構造とマイクロ波伝達構造の統合構造の試作については,最終年度の動物実験までには完成するよう,迅速に開発をおこなっているが,当初の計画より時間がかかり,やや遅れている.また,シミュレーション結果や弾性機構の論文作成が遅れている.全体としては,一部の進捗が計画より遅れているため,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
実験用試作機の開発に注力しつつ,シミュレーション結果およびこれまでの結果をまとめる.実験等に遅れが生じているが,致命的な遅れではないため,基本的には最終年度の研究計画どおり進める.有益な結果が出ており学会でも研究が評価されている(日本コンピュータ外科学会2018年度講演論文賞(2019))ため,論文投稿を達成して終了する.引き続き,毎月の進捗報告書をまとめて,注意深く自己評価し,研究活動が停滞しないように注意する.
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