研究課題/領域番号 |
18H01409
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中西 弘明 京都大学, 工学研究科, 講師 (50283635)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無人ヘリコプタ / スタビレス化 / フラップ角制御 |
研究実績の概要 |
サブテーマ(1)ロータブレードのフラップ角推定機構では,スタビレス機の高速飛行実験を実施し,飛行データの収集を実施した.その結果,低速飛行時と異なり,ピッチ角において違いが大きくなることが明らかになった.このため,これまで移動速度が低速であるという仮定を緩和し,高速移動におけるロータブレードフラップ角の運動方程式を導出した.それに基づいて,ロータに作用する空気力のモデル化を行い,高速移動における操縦・制御に重要となるローリングおよびピッチングモーメント係数を求めた. サブテーマ(2)フラッピングダイナミクスの散逸性による陰的制御では,すでに提案したロータブレードのフラップ角を陽に用いない飛行制御系を構築する方法を速度制御あるいは位置制御の構築に拡張した.さらに,減衰比が極めて小さく,直接入力を作用できない従来の産業用無人ヘリコプタのスタビライザのフラッピング運動に着目した.スタビライザのフラッピング共振は従来から問題となっていたが,その現象を抑制できる制御系を提案法により構築できることを明らかにした.これにより,フラッピングダイナミクスの散逸性を調整することも提案法により可能であることを明らかにした. (3) 適応フラッピング制御に基づく超ロバスト性の実現 について研究では,様々な制御系およびその設計パラメータにおける機体の姿勢運動に対する風外乱の影響の変化を調べた.その結果,機体重量の公称値が主たるパラメータとなっており,それを適応パラメータとすることにより,風外乱に対するロバスト性を変更できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでより広い範囲まで適用可能なロータブレードフラップ角運動の運動方程式を導出できた.この成果は機体の運動モデルの改良に適用可能であり,これまでの研究にも適用可能である.しかし,これまで実験に用いてきた機体が2020年2月に故障し,飛行実験までできていない.機体は修理依頼中であるが,政府の緊急事態宣言を受けて,機体の返却は2020年6月以降になる見込みとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り,サブテーマ(1),(2)について研究を深化させるだけでなく,サブテーマ(3)に注力するが,現在中断している飛行実験が実施可能となるまでは,理論計算あるいは数値計算を基に行う.このため,今年度前半はソフト的な研究開発に注力し,ハード開発や実験が必要な研究開発項目は年度後半に集中して実施するようスケジュール変更を行う.
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